青空の下でのラッピング~二番草収穫~(食育レポートvol.14)

牧草ロールづくり

冬の間、牛の貴重な食糧となる牧草の収穫。

食育レポート8,9では、臼井牧場で6月末~7月上旬に行われた
一番草(いちばんそう・いちばんぐさ)の収穫をレポートしました。

いかに牛がいっぱい食べたい草を作るか~一番草の収穫 その1~(食育レポートvol.8)

牧草ロール誕生!~一番草の収穫 その2~(食育レポートvol.9)

6~7月は、天気が特に不安定な季節。
快晴の中で刈り取ることができたものの、好天が続かず
今にも雨が降り出しそうな曇り空の中での牧草ロールづくりの日もありました。
曇天の牧草ロールづくり

9月 青空の続く秋空の下、
二番草(にばんそう)と呼ばれるロールサイレージ(ロールベールサイレージ)づくりが行われていました。

【サイレージとは?】
牛の飼料になる作物を発酵させたものをサイレージと呼びます。
空気を除いて発酵させることで乳酸菌や酢酸などが発生し、
腐敗の原因となる菌を抑えるため長期保存が可能になります。

また、発酵させることで発生した有機酸は、牛にとって重要な栄養源。
牛にとって食欲をそそる香りを放ち、牛の食欲を増進させます。

このサイレージ作りがうまくいくかどうかは、冬の牛の食糧確保という役割だけでなく、
酪農業を営む酪農家にとって今後の牛の乳量、牧場経営全体に関わるものなのです。

かつては牛舎の横にそびえ立つサイロに牧草を詰め込んでサイレージを作っていましたが、
現在ではラップでくるむ”ラップサイロ”のほか、
コンクリートで囲んだ”バンカーサイロ”、土の中に溝を掘る”トレンチサイロ”などになっています。

 

一番草の収穫に引き続き、今回も臼井牧場さんにご協力いただきました。
刈り取るのは一番草と同じく、札幌ドーム10個分の牧草地!
一番草を刈り取ったあとは牛を放牧する「兼用地」は若干あるけれど、
刈り取り面積は一番草とほぼ同じなのだそうです。

 

【一番草(夏草)と二番草(秋草)の違い】

 一番草の牧草ロール

 ▲一番草の牧草ロール

二番草の牧草ロール

 ▲二番草の牧草ロール

前回の刈り取りから成長した部分を刈り取るため
丈が低く、また細く、繊維が少ない二番草。
ほぼ同じ面積を刈り取っても収穫量は減るそうです。

 

【巻くか?巻かないか?空を見上げながらの判断】
牧草ロール作り 刈り取りと乾燥作業


1日目に一台のトラクターで牧草を刈り取り、もう一台のトラクターで牧草を広げて乾燥させます。
2日目はさらに牧草をかき混ぜ、広げて乾燥を早めます。

ところが夕方、近づきつつある黒い雲を見つけた臼井さん。
雨が降ると栄養分が雨とともに流れ、醗酵品質も悪くなってしまいます。
2日目の日が暮れる頃、3日目に予定していたロール作りを開始。
その後天候回復の兆しがみえ、残りの作業は予定通り翌日に持ち越しました。

 

【家族みんなで連携プレー】

3日目、晴天のなか牧草をロールにする作業。

お母さんが今度はツインレーキという機械で牧草を集め、
お父さんがロールベーラーでロールを作ります。
そして臼井さんがラッピング。
どの作業もトラクターに作業用機械をつけて行います。(動画1分10秒)


bell-wrapper

今回は巻いている様子がよくわかるように、
白と黒のフィルムでロールを巻いて下さいました。(動画49秒)


しましまラッピング

 
【ロールに巻いているのはどんなもの?】

牧草ロール用ラップフィルム

 
使用するラップ「ストレッチフィルム」は、ポリエチレンが主原料で厚さ0.025㎜。
このラップはストレッチ性があるため、倍近くの長さに伸びます。
それを4~5重になるように巻いて密封することにより、
牧草に含まれる、空気が苦手な乳酸菌を活性化させています。

 

また、フィルムの色は黒・白・淡緑のほか、様々な色が出てきています。
色によって太陽の熱を吸収し、内部の温度が変わってくるため、
気温の変化や置き場所を考えて選んでいるのです。
(時には牧場主の好みが出る場合も…)

 

【さまざまな味わいの牧草、出来上がり!】

出来上がった牧草ロールは牛舎横へ運びます。(動画1分50秒)

 牧草ロールづくり ロールの運搬

 

 

別海りょウシくん 牧草ロールの上で

作業中や保管時に穴があいてしまうと、カビが生えたりしてしまいます。
カラスのいたずら、台風…作業後も見回りが欠かせません。

冬、臼井牧場さんでは1日に2~3個、牧草ロールが消費されます。
使用済みのラップは工業用燃料としてリサイクルされています。

 

「天気がいいからいつもより1週間早く終わりそう。それまでが勝負。」
臼井さん、夏は暑さと疲労で体重が3キロほど減るそうです。
一番草作業の苛酷さを物語っています。
「涼しくなる2番草の作業は、いつも通りご飯が食べられるので(体重が)ほとんど減らない」と
笑っていました。

別海りょウシくん 牧草ロールの上で


初夏から始まった冬支度。
牛たちは主食、おかず、デザートと、
さまざまな味わいと栄養豊富な牧草で冬を越すことができそうです。

 

※許可を得て撮影させていただきました。
私有地及び感染症予防のため、牧草地への無断での立ち入りはご遠慮くださいますようお願い致 します。

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》