風蓮湖 冬の風物詩「氷下待ち網漁」(食育レポートVol.37)

【酷寒の環境がもたらす冬の恵み】

毎年1月中旬、別海町と根室市にまたがる風蓮湖で、氷下待ち網漁が始まります。風蓮湖は周囲96km、オホーツク海につながっており、ヤウシュベツ川や風蓮川などの水が流れ込む汽水湖です。
風蓮湖

▲風蓮湖

 

凍った風蓮湖の下には、エビの仲間「イサダ」などの餌を求めて、ワカサギやチカ・コマイ・ニシン・キュウリウオなどの魚がやってきます。氷下待ち網漁は、その名の通り、凍結した湖沼の氷の下に網を仕掛ける漁で、厳しい冬ならではの風物詩となっています。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

【氷の下は湖】

今回漁に同行させて下さったのは、中村清一さん。
同じ漁師の永野泰弘さん、大学生で帰省中の中村太一さんと、3人一組で漁を行っています。
朝6時半過ぎ。軽トラックで凍った湖の上にある漁場へ向かいました。

この日の気温は氷点下4度。中村さんは「今日はあったかいほうだ。-20℃になるととった魚が凍るし、水(湖水)から湯気があがるんだよ」と話していました。気温が高くなると、軽トラックではなくスノーモービルにそりをつなげて漁場へ行き、もっと気温が高くなれば漁をとりやめます。現在の氷の厚さは30センチほど。北海道の寒さ、そして降り積もる雪が、この漁を可能にしているのです。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

【漁具はチェーンソーと斧】

これが氷下待ち網漁の道具です。
チェーンソーとスコップ、もう一台のトラックには斧が積んであります。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

漁場へ着くと、まずは網を仕掛けた穴を覆う木の板を取り除き、スコップで周囲の除雪をしてからチェーンソーで氷に穴を開けます。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

2日前の漁から張った氷は、約10cmにになっていました。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

棒で網の先端を取り出し、あうんの呼吸で20mを超える長さの網を引き上げていきます。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

風蓮湖 氷下待ち網漁

 

チカやキュウリウオ、それに春を告げる魚、ニシンが網にかかっていました。
網にはアマモもついていました。
「アマモがニシンの産卵場所になっているからね。場所によっては網を上げるときに困るくらいついていることもあるよ」
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

先端を縛り、再び海に戻します。太一さんが20m以上離れた網の反対側でロープを引き、再び網を水の中へ下ろします。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

「待て、ひっかかった」

中村さんと永野さんが、水の中へ入りました。今年は雪が積もったり溶けたりを繰り返し、氷が何層にもなっているため、網が氷と氷の間に引っかかってしまいやすいのだそうです。
この場所の水深は約1.5m~2m。網を戻すたびに、2人で足から腰まで水の中に体を沈めて網を下ろしていました。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

【氷下待ち網漁は鳥の楽園】

水揚げしたその場で、「ザツ」と呼んでいる、市場に出さない魚を選別します。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

それを遠巻きに待ち構えている黒い集団がいます。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

まず、人慣れしているカモメが近づいてきました。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

そのうちにオジロワシ、そして、黒い集団の正体であるオオワシも近づいてきました。オオワシは、夏はカムチャッカ半島やサハリンなどで子どもを育て、冬は日本や朝鮮半島に南下して過ごします。「鳥達には風蓮湖は絶好の環境にあるんでないかい?」と話す中村さん。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

オオワシたちへのお土産を残しながら、この日は6枚の網を引き上げました。
氷下待ち網漁は、例年1月下旬~3月末頃までの月曜日~土曜日、天候が良く氷の厚さが十分な日に行われます。

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》