別海町の乳製品加工研修施設では、チーズ、アイスクリーム、バターの加工体験をすることができます。
チーズの加工体験はこちらをご覧ください
→”乳製品加工研修施設”で体験!~べつかい乳業興社~(食育レポートVol.26)
チーズに次いで人気なのが、アイスクリームづくりです。
バニラ、抹茶、いちご、チョコの4種類から選んで作ることができます。
原料のアイスクリームミックスは事前に専門職員が準備するため、普段目にすることはありません。
今回は、その裏方の様子を特別にご紹介します。
まず登場したのは、昔なつかしい牛乳輸送缶。
別海町研修牧場の牛から搾ったままの生乳(牛乳の原料)を、隣接の工場(べつかい乳業興社)から運んできました。
▲かつて牧場から工場へ生乳を運んでいた牛乳輸送缶。
ここでは加工体験や新商品開発のための運搬に利用されています
冷蔵されていた生乳を湯せんで徐々に温めます。
湯せんは栄養素の損失が少ないのです。
40℃まで上がったら、原料を溶かして混ぜます。
写真はバニラ味で、卵黄・グラニュー糖・脱脂粉乳・生クリームが主な材料。
乳化剤、保存料といった添加物を加えないのがこだわりです。
▲「北海道は暖房で室内を暖かくし、冬でもアイスを食べるという人が多く、冬場も週1回くらい申し込みがあるんですよ」(職員談)
材料が生乳に溶けたら、60℃まで温度を上げます。
ここで、 「ホモゲナイザー(均質機)」という、乳脂肪(脂肪球)を均一に細かくする機械を通します。
家庭で作るアイスクリームづくりと一番違うのは、この機械を使うところです。
では、乳脂肪の大きさを均一にするのは、何のため?
搾ったままの生乳は、静かに置いておくと脂肪球が浮かび上がり、上にクリームの層ができます。この状態では、脂肪球の大きさはバラバラです。
これをホモゲナイザーに通すことで脂肪球が均一になって全体に散らばり、きめ細かなアイスクリームになります。また、途中で加えた原料も均一になります。
※ホモゲナイズ…均質化すること
ホモゲナイザーを通って、滑らかなとろみがつきました。
さて、この機械の上には、こんな工具が置かれています。
実は、均一にする作業は数分で終わるのですが、毎回の分解洗浄と組み立てに数倍の時間がかかるのです。
職員は
「組み立てだけで15分。大変だけど、この丁寧な行程を通すことで、美味しくなるんです。
加工体験も同じで、作業する手間を考えると買った方が簡単です。けれど、自分の目で見て、自分の手で作ることによって”安心・安全”というものをより強く感じていただけることが、この体験の魅力だと思います」
と話していました。
▲ホモゲナイザー内部の洗浄は、工場で使用している殺菌水で行う
最後にアイスクリームミックスを86℃まで温め、30分殺菌します。
とろみがつくと、カレーを温めなおす時のように温度が上がりにくくなっています。
職員は
「ものすごく暑い作業です。西日が当たると更に暑くなります。
以前はこの作業も体験してもらっていました。夏は週4回くらい製造することがあり、研修している横でこの準備作業をしていると”準備って大変だね”と言われます。
でも、牧場から届いて一切加工していない生乳で作るこのアイスクリームは、素材の味に一番近いと思って作っています」
と力を込めて語っていました。
▲「ここで製造する乳製品は、本来、素材が持つ風味を損なわないよう、高温で殺菌しないのが持ち味なので、菌を持ちこまないように気を配っています」と話す職員
一般の方が参加する加工体験が始まる前に、これだけの作業が行われていること、知っていましたか?
加工体験では、このアイスクリームミックスを使うところからスタートします。
原料のミックスを、アイスクリームフリーザーで高速撹拌(かくはん)しながら急速に冷却し、固め、カップに詰め、冷凍する行程が、みなさんが体験できる部分。
▲加工体験の一部
次回は、このアイスクリームミックスを使って実際に行われた、地元の女性たちによるアイスクリーム加工体験の様子をご紹介します。
《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》