北に寄る貝~ホッキ貝の噴流式桁網漁(食育レポートVol.42)

【ホッキ漁獲量日本一!北海道】

 

北海道はホッキ漁獲量が日本一。別海町は苫小牧市に次いで、全国第2位の漁獲量です。
ホッキ貝は正式和名を”ウバガイ”といい、関東より北の浅い砂地に生息しています。北海道では南部の日本海側を除き、ほぼ全域で水揚げされており、殻が黒く、厚くて重さがあるものが高く取り引きされています。
黒ホッキ

 ▲ホッキ貝(黒ホッキ)

 

資源を守り、他の漁との調整をはかるため、別海漁業協同組合(以下 別海漁協)では例年12月1日~12月31日と3月1日~5月31日、野付漁業協同組合は12月1日~12月26日と1月6日(2015年より)~5月31日と設定しています(日曜・悪天候時を除く。その他にも休漁期間があります)。

 

朝6時。日の出とともに、別海漁港からホッキ漁船が出港しました。別海漁協で行うホッキ漁は3トン未満の小型船で、別海漁港と走古丹漁港から合わせて20隻、47名の組合員が操業します。一隻には2~3人の組合員が乗船して共同で漁業を行います。
別海町 ホッキ漁

 

別海漁港から第八祥鵬丸(しょうほうまる)で出港したのは、船長の中村清一(なかむら きよかず)さんと、共同漁業者の永野泰弘(ながの やすひろ)さん、そして別海漁協青年部長の道又隆史(みちまた たかふみ)さんの3名です。

※別海町の漁業協同組合青年部の取り組みはこちら
子どもたちに生産者の顔を~漁協青年部の出前授業~(食育レポートVol.25)
 

 

 

ホッキは水深6mほどの比較的浅い海の砂の中にいます。別海漁協の漁場は、風蓮湖に沿って黒ホッキ漁場、茶ホッキ漁場、造成区、未利用区の4区域があり、時期によって漁場を変更します。
別海漁業協同組合 ホッキ漁場

 

この日、船団は別海漁港から15分ほどの黒ホッキ漁場へ向かいました。岸にはシカがたくさん見られました。この日の気温はマイナス3度、風速は2m。中村さんは「今日は凪(な)いでる(穏やか)。風が強い日はとても寒いんだ」と話していました。
走古丹 シカ

 

中村さんは無線で船団の仲間に伝えました。「俺、ここにするわ」
そして6時半頃、無線から船団長が漁の開始を伝えます。「これから漁を始めます。今日のノルマ(許容漁獲量)は一人100kg。」漁協全体で一日に設定したノルマは5トン、この第八祥鵬丸は3人の組合員で300kgを目指します。
別海漁業協同組合 中村さん

 ▲「若いころは、漁の初日は緊張して眠れなかったな。今も氷下待ち網漁や鮭定置網漁の網を下ろすときは気が引き締まる」と話す中村さん

 

 

【貝のキズを防ぐ「噴流式桁網漁(ふんりゅうしきけたあみりょう」】

 

船尾から浮き球のついたアンカー(錨・いかり)を海中に投入します。ここが今日の漁場の中心になります。ここから150m先でマンガン(桁網)を下ろし、25分かけてマンガンを引きながらこのアンカーに戻る、という作業を数回繰り返します。これで、海底でマンガンを引きながら選別作業をすることができます。
別海漁業協同組合 ホッキ漁

ホッキ漁

 ▲アンカーと赤い浮き球

 

アンカーについたワイヤーを伸ばしながら船を進めたら、「噴射式マンガン」という漁具を海中に投入します。噴射式マンガンは高圧ポンプで汲み上げた高圧の海水を赤いノズルから噴き出し、海底の砂を巻き上げます。そして奥にある爪でホッキを掘り起こし、袋網へ取り込む仕組みです。 このような漁法を「噴流式桁網漁」と言います。
噴射式マンガン

噴射式マンガンの仕組み

 ▲噴射式マンガン(天地が逆の状態)    ▲水流で砂を巻き上げ、爪でマンガンへ取り込む

 

アンカーへ近づくと、操船している中村さんがスクリューを動かし、永野さんと道又さんは、噴射式マンガンに付いているワイヤーをクレーンの力を借りながらマンガンを起こしました。
別海漁業協同組合 ホッキ漁

別海漁業協同組合 ホッキ漁

別海漁業協同組合 ホッキ漁

 
水揚げの様子(動画16秒)

 別海漁業協同組合 ホッキ漁

 

 

【漁と同時進行の選別作業】

 

噴射式マンガンを海に戻し、2度目の漁をしている間に選別作業を行います。
「北海道海面漁業調整規則」で、殻長7.5センチメートル以下のホッキの漁獲は禁止されています。さらに、別海漁協では8年ほど成長した9.3cm以上を漁獲すると決めており、水揚げしたその場で9.3cm~10.5㎝未満を「大」、それ以上を「特大」と分け、それ以下のものはその場で海に戻しています。
ホッキ漁 サイズ選別

 

マンガンには、ホッキ以外の貝も入っていました。サラガイ(シロガイ)、オオミゾガイ、バカガイ(アオヤギ)。種類ごとに分けて出荷します。量が少ないので、市場では他の漁船のものと合わせて競りにかけます。kai

サラガイ(シロガイ)、オオミゾガイ、バカガイ(アオヤギ)


 

 

【船上のまかない】

 

最初の選別を終え、中村さんがむいたホッキを道又さんが炭火で焼きはじめました。道又さんはホッキが大好物なのだそうです。
ホッキ貝


 

 

火を通すと「足」と言われる部分が赤くなるホッキ。
味付けは海水の塩分のみ。外はわずかに歯ごたえがあり、中はジューシー。火を通すと甘みが増します。「海で食べるのは違うしょ。買っても食べられない味だ。」と話す中村さん。
ホッキは刺身、バター焼き、カレーライス、ホッキご飯と、いろいろな料理が楽しめます。
ホッキ

 

 この日4回マンガンを引き揚げ、ノルマの7カゴ(約300kg)を漁獲した第八祥鵬丸は、8時半頃漁を終え、帰途につきました。
別海漁業協同組合 ホッキ漁

 

 

【海から上がってきた昔の漁具】

 

船の舳先には、錆びついたおもりが置いてありました。中村さんによると、昔の定置網の重りに使われていたもののようです。「マンガン(桁網)に入ってきたんだ。珍しいから置いてるんだ。」
別海町郷土資料館によると、これは「漁網錘」(ぎょもうすい)と呼ばれ、野付通行屋跡遺跡でも出土している近世のものだそうです。
ホッキ漁 

 

 

【出荷、そして再び海へ】

漁港へ接岸すると、中村さんの息子、太一さんが岸壁に待機していました。太一さんと4名でホッキをトラックに乗せ、港にある市場へ出荷しました。
別海漁業協同組合 ホッキ漁

別海漁港 市場

 

中村さんと永野さん、そして太一さんは岸壁に戻って漁船を乗り換え、数日前に前浜へ網を入れ始めたばかりのカレイ底建網(そこたてあみ)漁へ向かいました。また、風蓮湖では氷下待ち網漁の氷が溶けると、船で操業する待ち網漁が4月下旬まで行われます。中村さんのように一日に複数の漁を行う漁業者もいれば、ホッキと鮭定置網のみ操業している漁業者、ホタテ漁で尾岱沼漁港に水揚げする漁業者と、同じ漁協に所属する漁業者でもさまざまです。
別海漁業協同組合

 

この日水揚げされたホッキは、東北を中心に北海道内・関東地方へ出荷されていきました。別海漁業協同組合 新港市場

別海漁業協同組合 ホッキのセリ

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

地元の特産物を開発しよう!~野付小学校の新・ご当地グルメ(食育レポートVol.41)

【地域の良さを発見する学習「野付学」】

別海町尾岱沼地区にある野付小学校。5年生の総合的な学習の時間「野付学」では、新しい野付の加工品を開発し、発表するという取り組みを行いました。
野付小学校

 ▲別海町立野付小学校

 

野付小学校は総合的な学習の時間を「野付学」と名づけており、PTAや野付漁業協同組合・野付半島ネイチャーセンターの協力を得ながら、地域の自然や文化、観光を含む産業などを「知る・まとめる・創り出す(創造)」という体験活動を通して学んでいます。 
野付漁業協同組合

野付半島ネイチャーセンター

 ▲野付漁業協同組合            ▲野付半島ネイチャーセンター

 

学校長 音川忠志先生は「野付学」についてこう話します。「野付にはいい素材が沢山あります。なので、自分の足元にあるものに直接触れ、体験することを通して、故郷を愛する心、故郷の良さを発見し、育みたいと願っています。また、地域の方の顔がわかるつながりを活かして地元の方にも多く関わっていただき、子どもの成長につなげていきたいと取り組んでいます。」
 ※PTAや地域生産者の協力で行った「収穫祭」の取り組みはこちら→伝統の収穫祭!~野付小学校~(食育レポートvol.16)

 

【特産物を使った新メニューを開発しよう!】

 

5年生13名のうち9名が漁業関係者、1名が酪農の家庭です。この地域では、ホタテ・北海シマエビ・鮭・アサリなど魚介類の水揚げ、そして酪農・肉牛の生産が行われています。
授業ではピザを作り、メインの食材に魚介類を使用し、トッピングにチーズを使うことになりました。授業の一部は町内の先生方の研究会で公開され、根室教育局や周辺校からも先生が訪れました。また、完成後の試食と助言を野付半島ネイチャーセンターの専門員の方と、仲買人であり、居酒屋「酔楽 まる太」で地元の食材をふんだんに使った料理を提供している大隅さんにお願いしました。
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メインの食材を決めます。ホタテ、鮭、北海シマエビ、アサリ…
一番人気があったのは?
この時期水揚げされており、社会科見学で水産加工場を訪れた「鮭」でした。
野付小学校 公開研究会

 

その後、発表会に向けて試作と発表の準備を行いました。尾岱沼の生鮭のほか、試作をして北海道産のコーンと玉ねぎ、そしてウィンナーを具材に選びました。
ピザの名前は「野付のサーモンピザ」に決定!
野付小学校 ご当地ピザ

野付小学校 ご当地ピザ

 

こうして迎えた発表会当日ですが、なんと大雪で臨時休校、開催延期になってしまいました。
その影響で、試食と助言をお願いしていた2名が来られなくなってしまったため、6年生19名に試食してもらうことに。
野付小学校

 

調理は生地班・切る班・トッピング班に分かれて行いました。
メインの尾岱沼産の鮭から調理を開始しました。最初はスライスの厚さに悩んでいたものの、徐々に試作の時の手順を思い出したようです。その後は順調に調理されていきます。担任の葛西先生は「試作の時よりも手際が良くなっています」と話していました。野付小学校 ピザ作り

 

生地班からトッピング班のテーブルへ、できあがったばかりの生地をバトンタッチ。トッピング班が混ぜたソースを塗り、切る班が切った具を乗せます。最初は丁寧に盛り付けていたのですが、「食材がもったいないから余さないようにしよう」と、2枚目は具だくさんになっていました。
野付小学校 ピザ作り

野付小学校 ピザ作り

 

チーズをたっぷりと乗せ、オーブンで焼くこと10分。尾岱沼産の鮭とチーズを乗せた
「野付のサーモンピザ」の完成です!
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野付小学校


 

【新・ご当地グルメ「野付のサーモンピザ」発表会】

 

いよいよ6年生に試食してもらいます。6年生の教室へ持って行くと、直前に聞いた6年生達は拍手で歓迎してくれました。緊張しながらピザの内容を説明して、一人ずつ手渡しました。
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野付小学校 ピザ作り

 野付のサーモンピザ

 

試食した6年生達からは、「おいしーい!」と一斉に声が聞こえました。「鮭がおいしい!」「和食っぽい鮭と、洋食っぽいウィンナーが合ってる!」という感想も聞くことができました。笑顔が教室いっぱいに溢れました。試食直前まで緊張していた5年生は、安堵の表情を浮かべました。担任の葛西先生は「自分たちで新しいご当地グルメを開発する経験を通して、大人になってから、地域を盛り上げる原動力になってもらえればと思っています。」と話していました。
野付小学校 

野付小学校

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

流氷がもたらすオホーツク海の恵み~流氷のメカニズム~(食育レポートVol.40)

【”閉ざされた海”が氷を創り出す】

冬、オホーツク海には流氷がやってきます。海一面が氷で埋め尽くされると、漁に出ることができなくなります。
野付半島に押し寄せた流氷


▲野付半島に押し寄せた流氷

 

海水が氷結したものを「海氷」といい、流れ漂う氷を「流氷」、岸についた氷を「定着氷」と言います。
オホーツク海はユーラシア大陸や千島列島に囲まれており、全体の48%が水深200m以下と比較的水深の浅い海です。そこにロシアと中国・モンゴルの国境を流れるアムール川から大量の淡水が流れ込むことで、塩分が薄い表層と塩分が濃いままの深層に分かれます。さらにシベリアからの北西の冷たい季節風が表層の海水の真水成分を凍らせ、流氷がつくられるのです。
こうしてアムール川沿岸でできた海氷は、北西の季節風とサハリンの東を南下する海流によって、遠く100キロ離れた北海道まで運ばれてきます。
オホーツク海の流氷

▲オホーツク海の海氷分布図(平年の最大範囲)

 

【徐々に解明されてきた流氷の謎】

押し寄せてきたと思ったら、一晩のうちに姿を消してしまう流氷。そのため、その仕組みの解明は困難でした。しかし1997年、日本、アメリカ、ロシア3カ国による国際合同プロジェクトが行われて以来、これまで「アムール川の”淡水”が凍って海へ流れてきたもの」と考えられていた流氷が、「アムール川の水で薄められた”海水”が凍ったもの」とわかってきたのです。
野付半島に押し寄せた流氷


 ▲海岸を埋め尽した流氷

 

 

【深層の栄養分を浮き上がらせる「ブライン」】

海水が凍るとき、純粋な水分のみが凍り、海水が濃縮されていきます。塩分が濃縮された「高塩分水(ブライン)」は、海氷とともに流されながら徐々に染みだし、塩分の重さで沈んでいきます。すると、海水が上下にかき混ぜられる「鉛直混合(えんちょくこんごう)」が起こり、深層にある栄養分豊富な塩分が浮き上がってくるのです。水温が低ければ低いほど、より深い層との交換が行われます。
流氷の通路(ブラインチャンネル)

▲流氷には時折小さな穴がいくつもあるのは、ブラインが抜け落ちた跡

 

【アイスアルジー】

また、海水が凍る際には「アイスアルジー」と呼ばれる植物プランクトンが取り込まれ、春になるとブラインを栄養素に、爆発的に繁殖します。

▲植物プランクトン量を表すクロロフィルa量の推移。3~4月に植物プランクトン量が一気に増えている(根室地区水産技術普及指導所資料より)

 

 これが植物プランクトン類を食料にするオキアミなどのエサになり、オキアミなどは小魚や貝類などのエサになります。そしてそれらは大型の魚類、アザラシ、鳥類のエサに…と、食物連鎖が起こっていくのです。
春の流氷

▲3月の流氷。海面付近が茶色くなり、植物プランクトンが繁殖し始めている

 

 

「流氷の天使」と呼ばれているクリオネも、幼年期に植物プランクトンを食べて成長します。成長すると「ミジンウキマイマイ」という動物プランクトンを食べるようになり、やがてサケ・マスの餌になります。
クリオネ

 

【邪魔者から、恵みをもたらす者へ】

これまで流氷は、冬の海を閉ざし、時には急に押し寄せることで漁業者の命を奪う危険なものでした。しかし現在では、閉ざされた冷たい海の中でプランクトンの種が撒かれ、春のオホーツク海に恵みをもたらす重要な役割を果たしているとわかってきたのです。

春の訪れとともに流氷は別れを告げ、オホーツクの港に活気をもたらします。
流氷と尾岱沼漁港

▲流氷と尾岱沼漁港(別海町役場 水産みどり課提供)

 

《参考文献》

 ・北海道農政事務所 グラフでみる北海道の漁業のポイント
   「豊かな漁場は流氷のおかげ」
  →http://www.maff.go.jp/hokkaido/policy/jyousei/pdf/29_pamphlet.pdf

 ・東京農業大学(2011年4月)
  「流氷(海氷)がもたらす恵み オホーツク海の生産構造の解明」
  生物産業学部アクアバイオ学科 准教授 西野 康人氏
  →http://www.nodai.ac.jp/teacher/200939/2011/1.html

  ・テレビ朝日 奇跡の地球物語
  「流氷 蘇る海のいのち」
  →http://www.tv-asahi.co.jp/miracle-earth/backnumber/20100314/

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

地元の旬を全国の食卓へ~市場と仲買人~(食育レポートVol.39)

【漁師さんから新鮮なまま市場へ】

漁師さんたちはとれた魚を種類ごとに選別し、市場へ持っていきます。自分の屋号のついた札を置き、出荷が完了します。(地域によっては仲介業者が市場へ出荷する場合もあります。)別海漁業協同組合(以下、別海漁協)の新港市場では、氷下待ち網漁のせりを10時30分から始めます(漁によってせりの時間は変わります)。
せりで購入する仲買人は、商品をひと通り見て回り、品定めをします。そして、需要や他市場での相場などを参考に、買う価格(買値)を決めます。
市場の競り

 

【スピード勝負!競り(せり)下げ方式】

「カランカラン」と鐘の音が鳴ったら、せりが始まる合図です。
ここでは、せり人が品物の価格を下げていく間に一番早く声をあげた人が落札するという「競り下げ方式」です。鮮度が命の魚介類にとって、取り引きのスピードが速いのが大きなメリットです。商品の前に皆が集まり、せり人が品物と量を読み上げ、早口で価格を下げていきます。仲買人が希望の買値になると「ハッ」と声を掛け、せり人が業者名と価格を読み上げると取り引き成立。この間、わずか数秒です。
市場の競り

▲中央の人がせり人。隣の人は取引価格を記録している

 

仲買人は、せり落とした魚介類の箱に屋号の札を置きます。生産者市場での値段を「浜値」と呼び、この日の価格は前月平均の2.5倍になりました。高値になれば漁師さんが喜びます。
市場の競り

▲紫色の紙が生産者、ピンク色が仲買人の屋号札

 

【全国へ届ける仲買人】

別海漁協の市場には、尾岱沼、標津、根室から仲買人たちが集まります。
この日の仲買人の一人、株式会社 丸イ 佐藤海産の伊勢健さんにお話を伺いました。

丸イ 佐藤海産

この日は9:45から野付漁業協同組合(以下、野付漁協)でホタテとホッキを買ったあと、10:30に行われたこの市場へ。11:30からは再び野付漁協でせりがあるそうです。
「今日はチカとニシン。明日は天気が荒れるから、多めに買いました」と話す伊勢さん。この日は暴風雪を伴う低気圧が近づき、明日は漁ができないだろうと判断したのでした。

このように、水揚げ地に開設される市場は「産地市場」と呼ばれていて、水産物の産地市場は日本全国に328ヶ所(平成24年)あります。

仲買人は、買った魚介類を流通しやすいように3kgや10kgといった同じ重さに統一したり、商品によっては加工をして、「消費地市場」と呼ばれる中央卸売市場(33都市39市場)や地方卸売市場(272ヶ所)へ送ります。そこで再びせりにかけられ、消費地市場の仲買人が小売店や飲食店、スーパーなどに販売します。こうして生産地から遠く離れた場所でも、新鮮でおいしい魚介類を食べることができるのです。

流通図

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

氷下待ち網漁の仕組みと漁師の暮らし(食育レポートVol.38)

氷に閉ざされた湖に穴を開けて漁を行う、風蓮湖の冬の風物詩「氷下待ち網漁」。
今回は、氷の下で魚を捕まえる仕組み、そして漁師さんの暮らしの一部をご紹介します。風蓮湖 氷下待ち網漁

 

【仕掛けの設置】

風蓮湖の氷下待ち網漁は、2種類の網を仕掛けます。ひとつめは手網(てあみ)。漁期が終わるまで設置しておきます。もうひとつが、漁のたびに引き上げる箱網(はこあみ)。1ヶ統(かとう・一つの漁場)に陸側と沖側、2つの網を仕掛けます。障害物にぶつかりそうになると方向を変える魚の性質を利用して、岸から沖に向かって手網を設置して、その両脇の箱網に入った魚を獲るのです。箱網は一度入ると戻れない仕組みになっています。
風蓮湖氷下待ち網漁 漁の仕組み

 

風蓮湖で使用する手網は1枚90m、箱網は約23m。なんと漁師さんの手編みです。「このくらいの小さい網なら、みんな自分で作るよ」そして、漁の命運を決める網の設計図は、家族にも見せない秘密とか。
風蓮湖 氷下待ち網漁

▲漁網を編む針「網結針(あみすきばり)」網が破れたらすぐに直せるようトラックに常備してある

 

【くじ場所と自由場所】

風蓮湖の氷下待ち網漁には、2種類の漁場があります。
ひとつはその名の通り、くじ引きで決める「くじ場所」、もうひとつは「自由場所」。
初日はくじ場所に網を入れてから、自由場所に網を入れます。一つの漁場が1ヶ統、初日から4日間かけて、合計8ヶ統まで網を仕掛けることができます。1ヶ統の設置にかかる時間は約1時間半~2時間。くじ場所に先に網を入れることで時間差を作り、漁場の場所取りを円滑に行っているのです。このような細かいルールは氷下待ち網漁のような”共同漁業権漁業”ならではのもので、各漁協でその地域に沿った規則を作っています。

 

【チカとワカサギの見分け方】

漁が終わると、番屋で魚の種類を選別します。ワカサギ、小チカ、中チカ、コマイ、ニシン、キュウリウオと分けていきます。ニシン以外はどれもキュウリウオ科で、見た目の違いは腹びれの位置など、ほんのわずか。けれども、ワカサギの価格はチカの約5倍。「ワカサギは紫の筋が入っていて、腹がぷくっとして柔らかい。触ればわかるよ」
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

お父さんに選別を教わっていた太一さんは21歳。看護士を目指して北海道外へ進学し、今は帰省中です。今回の手伝いは自分から申し出たそう。
「最初の手伝いは、中学1年生のときの網入れでした。選別作業は3年ぶりで、すっかり忘れています。僕は別の道を選んだけれど、父はこうして僕を育ててくれました。父の姿は僕の糧になっています。」太一さんは少し照れながらそう話していました。
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【絶品!とれたての漁師飯(めし)】

選別の終わった魚は別海漁業協同組合新港市場へ出荷。このあと競りにかけられ、買受人が全国へ出荷します。
奥さんがとれたてのニシンを一尾とり、”刺身と数の子の塩炊き”を作って下さいました。コリコリとしたしっかりとした歯ごたえ。「ニシンは骨が多いけど、刺身にすると気にならないしょ」と話す奥さん。ニシンを生で食べられるのは、とれたてならでは。
ニシンの刺身

数の子の塩炊き

 

【育てる漁業】

中村さんが「風蓮湖ではニシンの稚魚を放流しているんだよ」と教えて下さいました。
現在風蓮湖では、ニシン・シジミ・ワカサギの人工種苗放流の取り組みを行っています。また、漁師さんたちは、氷下待ち網漁で網にニシンの卵がついていると、ふ化するまでそのままにしておくのだそうです。天然ニシンの生育が良い年は放流稚魚の生育も良く、資源増加の後押しになっているとの結果が出始めています。減少していた漁獲量は2011年から年々回復し、昨年(2014年)は600トンの水揚げがありました。

 

【38年間のノート】

中村さんは、その日の天候、気温、漁具合を、ノートに毎日記入しているのだそうです。
「漁をする場所は経験に基づいたカン。それに、好きな場所。必ず前の年のノートを見るね。漁はいい時と悪い時がある。漁師になった年から、ほんの数行だけど、何があったか記録しているんだ。そうすると前の年のことがわかる。亡くなった父に、高校の時教わったんだ。もう38年か。昔のノートは帯が破けてしまって、テープを貼って直してる。大事なものだ。」と話していました。
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▲「どこの(港の)漁師も、自分のとこの魚が一番と思っているだろうね。もちろん、ここ(風蓮湖)が一番だよ。」と笑う中村さん

 

中村さんは月曜~土曜に漁を行い、日曜日も雪が積もれば除雪、氷が厚くなれば穴開け、と漁場管理を続けながら氷が溶けるまで氷下待ち網漁を行います。
そして風蓮湖の氷が溶ける頃、流氷によって豊かな栄養を蓄えたオホーツク海へ出て、ホッキ・ホタテ、そして秋にはサケ漁(西別鮭)と、年間通して様々な漁を行っています。

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

風蓮湖 冬の風物詩「氷下待ち網漁」(食育レポートVol.37)

【酷寒の環境がもたらす冬の恵み】

毎年1月中旬、別海町と根室市にまたがる風蓮湖で、氷下待ち網漁が始まります。風蓮湖は周囲96km、オホーツク海につながっており、ヤウシュベツ川や風蓮川などの水が流れ込む汽水湖です。
風蓮湖

▲風蓮湖

 

凍った風蓮湖の下には、エビの仲間「イサダ」などの餌を求めて、ワカサギやチカ・コマイ・ニシン・キュウリウオなどの魚がやってきます。氷下待ち網漁は、その名の通り、凍結した湖沼の氷の下に網を仕掛ける漁で、厳しい冬ならではの風物詩となっています。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

【氷の下は湖】

今回漁に同行させて下さったのは、中村清一さん。
同じ漁師の永野泰弘さん、大学生で帰省中の中村太一さんと、3人一組で漁を行っています。
朝6時半過ぎ。軽トラックで凍った湖の上にある漁場へ向かいました。

この日の気温は氷点下4度。中村さんは「今日はあったかいほうだ。-20℃になるととった魚が凍るし、水(湖水)から湯気があがるんだよ」と話していました。気温が高くなると、軽トラックではなくスノーモービルにそりをつなげて漁場へ行き、もっと気温が高くなれば漁をとりやめます。現在の氷の厚さは30センチほど。北海道の寒さ、そして降り積もる雪が、この漁を可能にしているのです。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

【漁具はチェーンソーと斧】

これが氷下待ち網漁の道具です。
チェーンソーとスコップ、もう一台のトラックには斧が積んであります。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

漁場へ着くと、まずは網を仕掛けた穴を覆う木の板を取り除き、スコップで周囲の除雪をしてからチェーンソーで氷に穴を開けます。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

2日前の漁から張った氷は、約10cmにになっていました。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

棒で網の先端を取り出し、あうんの呼吸で20mを超える長さの網を引き上げていきます。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

風蓮湖 氷下待ち網漁

 

チカやキュウリウオ、それに春を告げる魚、ニシンが網にかかっていました。
網にはアマモもついていました。
「アマモがニシンの産卵場所になっているからね。場所によっては網を上げるときに困るくらいついていることもあるよ」
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

先端を縛り、再び海に戻します。太一さんが20m以上離れた網の反対側でロープを引き、再び網を水の中へ下ろします。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

「待て、ひっかかった」

中村さんと永野さんが、水の中へ入りました。今年は雪が積もったり溶けたりを繰り返し、氷が何層にもなっているため、網が氷と氷の間に引っかかってしまいやすいのだそうです。
この場所の水深は約1.5m~2m。網を戻すたびに、2人で足から腰まで水の中に体を沈めて網を下ろしていました。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

【氷下待ち網漁は鳥の楽園】

水揚げしたその場で、「ザツ」と呼んでいる、市場に出さない魚を選別します。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

それを遠巻きに待ち構えている黒い集団がいます。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

まず、人慣れしているカモメが近づいてきました。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

そのうちにオジロワシ、そして、黒い集団の正体であるオオワシも近づいてきました。オオワシは、夏はカムチャッカ半島やサハリンなどで子どもを育て、冬は日本や朝鮮半島に南下して過ごします。「鳥達には風蓮湖は絶好の環境にあるんでないかい?」と話す中村さん。
風蓮湖 氷下待ち網漁

 

オオワシたちへのお土産を残しながら、この日は6枚の網を引き上げました。
氷下待ち網漁は、例年1月下旬~3月末頃までの月曜日~土曜日、天候が良く氷の厚さが十分な日に行われます。

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

”べつかいの牛乳屋さん”ができるまで ②充填~出荷 (食育レポートVol.36)

べつかい乳業興社の製品「べつかいの牛乳屋さん」。
べつかい乳業興社製品

 

前回、牧場から届いた生乳の受け入れから牛乳になるまでをご紹介しました。→”べつかいの牛乳屋さん”ができるまで ①生乳から牛乳へ (食育レポートVol.35)

 

ここから、いよいよ牛乳を容器に充填します。(一部の写真はべつかい乳業興社提供)
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

▲牛乳充填室

 

■ 衛生管理
牛乳充填室で作業をする職員は1~2名。機械の動作確認や細菌検査、容器やストローの補充をし、密封前の商品に直接触れることはありません。しかし、牛乳がこの工場内で唯一空気に触れる場所。なので、入室前にはエアーシャワーでゴミやホコリをとばし、特に衛生に気をつけています。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

 

 ■ 充填機のいろいろ
この機械は200mlカートン充填機といって、200mlの牛乳・コーヒー乳飲料をポリエチレン樹脂製容器に充填する機械です。容器を組み立てながら、200mlの牛乳を1時間に5,000個製造することができます。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで 200mlカートン充填機

 

もう一台、1Lカートン充填機では1L牛乳・コーヒー乳飲料・低脂肪牛乳と500mlコーヒー乳飲料を生産しています。こちらは1Lの牛乳を1時間に2000本製造することができます。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで 1Lカートン充填機

 

他に、今では珍しい三角パック牛乳・コーヒー乳飲料を製造する機械もあります。
べつかい乳業興社 三角パック牛乳の製造

 

■ 充填の流れ
200ml容器は、最初こんな形をしています。これを充填機が開いて糊付けし、容器にします。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで 200mlカートン

※撮影用に手袋を外しています

 

容器の上からノズルが降りてきて、牛乳を充填します。
DSC05262400

※撮影用に機械を止め、手袋を外しています

 

充填後機械で密封し、賞味期限を印字します。べつかい乳業興社 牛乳ができるまで 製造ライン

 

製造された200ml紙パック牛乳が流れていく様子はこちらをどうぞ。(動画25秒)

 gyunyu-line

 

 

これはストローアプリケーターといって、ストローを容器に貼りつける機械です。
ストローアプリケーター

 

■ 検査
ここでは重さを計測し、不良品があった場合はラインの外に押し出されます。
べつかい乳業興社 べつかいの牛乳屋さんができるまで

 

 

最後の工程、金属探知機。中に金属が入っていないか検査します。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで 金属探知機

 

■ 冷蔵
これらの検査を通過したものが乳製品冷蔵庫に送られ、10度以下で保存されます。
べつかい乳業興社 べつかいの牛乳屋さんができるまで

 

■ 製品検査
製造したものの中から一部を取り出して検査をし、出荷前最後の安全を確認します。べつかい乳業興社 べつかいの牛乳屋さんができるまで 製品検査

 べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

▲ 製品の中身を検査       ▲日付の刻印を記録

 

■出荷
このように徹底した品質管理のもとで作られた牛乳が、牛乳荷造り室から工場を出ていきます。そして別海町内をはじめ全国の百貨店・スーパーを通して、みなさんの元へ届くのです。
べつかい乳業興社 べつかいの牛乳屋さんができるまで 流通

 

 

「べつかいの牛乳屋さん」は、牛乳(1Lパック)のパッケージ番号で生産履歴がWEB上で確認出来ます。牛乳のパッケージ番号(アルファベット)と賞味期限をホームページ上で入力すると、どこの牧場で生産された生乳か、どのように製造されたかがわかるようになっています。(三角パック牛乳は除く)トレーサビリティのページ
べつかいの牛乳屋さん トレーサビリティ

 

 製造後、すべてのタンクやパイプを洗浄します。密封されたライン内は機械操作で、施設の清掃は人の手で毎日行います。そして翌日の製造準備をして、一日の作業が終わります。
べつかい乳業興社 牛乳ライン洗浄

 

 《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

”べつかいの牛乳屋さん”ができるまで ①生乳から牛乳へ (食育レポートVol.35)

別海町が「別海町ミルクプラント」として、地元の生乳で牛乳をつくり、町民の健康増進につなげようと生産を始めたのが1974年。そして2001年、別海ブランドのイメージ向上や食文化創造の拠点づくりの場として、別海町と近隣農協の出資により「株式会社 べつかい乳業興社」が誕生しました。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

 ▲別海町酪農工場(運営:株式会社 べつかい乳業興社)

 

 牛乳の他、チーズやヨーグルト・バターなど、様々な乳製品を開発・販売している会社です。
べつかい乳業興社 全商品(2014年11月)

 

今回は数ある商品の中から、代表的な商品「べつかいの牛乳屋さん」製造の様子をお伝えします。(一部の写真はべつかい乳業興社提供)
べつかい乳業興社 べつかいの牛乳屋さん

 

■ 搾乳(さくにゅう)
早朝、別海町酪農研修牧場で母牛たちから乳を搾ります。牛は毎日、100L~150Lの水を飲みます。別海町の水は摩周湖の伏流水。おいしい水で育った別海の牛の生乳が原料です。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

 ▲別海町酪農研修牧場

 

■ 原料乳の受け入れ
搾乳された生乳がミルクタンクローリーで工場へ届きました。1年間で約1800トンの生乳を受け入れます。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

 

■ 清浄機(クラリファイヤー)
この清浄機では毎分6,500回転という遠心力を使って、生乳の中の目に見えないような不純物まで飛ばすことができます。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

 

■ ストレージタンクに貯乳(ちょにゅう)する
成分・細菌・脂肪含有量などを検査した生乳は、ろ過したあと、ストレージタンクに3~5℃の間で保管します。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

 

■ 均質機(ホモゲナイザー)
生乳は放っておくと、表面に脂肪分が浮いてきます。均質機(ホモゲナイザー)を通すことで、脂肪球を同じ大きさに揃え、生乳全体へ乳脂肪分が行き渡るようになります。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

 

■ 殺菌機(加熱と冷却)
生乳の持っている栄養素を損なわないように、90℃で30秒殺菌し、すぐに冷却します(HTST法)。殺菌の終わった熱い生乳を冷却するのに使うのは、殺菌を行う前の冷たい生乳。熱交換式という効率の良い方法で、1時間に5,000Lの生乳を処理します。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

 

■ サージタンクに貯乳する
充填まで10℃以下で一時貯蔵するタンクです。アセプティック仕様という、無菌状態を保つタンクが使用されています。6トン×2基、3,000L×2基、2,000L×1基と合計5基あり、製品や製造量によって使い分けています。ここまでの過程を経て、生乳は牛乳になります。
写真手前のコックで製造ラインの切り替えを行い、皆さんの手元に届く容器へ充填(じゅうてん)していくのです。
べつかい乳業興社 牛乳ができるまで

 

 ”べつかいの牛乳屋さん”ができるまで ②充填~出荷 (食育レポートVol.36)へ続く

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

手作りが楽しい、乳製品加工研修施設でのアイスクリームづくり(食育レポートVol.34)

 べつかい乳業興社の技術者が指導を行う「乳製品加工研修施設」で人気なのが、チーズとアイスクリームづくりです。
チーズ製造体験はこちらをご覧ください→”乳製品加工研修施設”でチーズ製造体験!~べつかい乳業興社~(食育レポートVol.26)

 

アイスクリームは、バニラ・抹茶・いちご・チョコの4種類から選んで作ることができます。 
乳製品加工研修施設

 

 専門職員が事前に準備したアイスクリームミックスは、別海町研修牧場の牛から搾った生乳100%。卵黄・グラニュー糖・脱脂粉乳・生クリームが主な材料で、乳化剤、保存料は入れていません。事前に作り、冷蔵して寝かせる(エージングする)ことで、滑らかなとろみがつくのです。
乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

 

まず、アイスクリームフリーザーで急速に凍らせながら高速で撹拌(かくはん)して、空気を含ませます。
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 冷却と撹拌の速度が速いほど、沢山の空気を含み、アイスクリームの結晶が細かくなります。そうすることで口当たりが柔らかく、より滑らかな食感になるのです。とろとろのミックスが徐々に固まってくる様子は、こちらの動画でどうぞ。(動画19秒)

アイスクリームミキサーでミキシング

 ※撮影のため、特別に容器を開けています。

 

 

冷却のあとは、アイスクリームを容器に詰める作業です。
今回の体験者は、別海町の女性たちと、釧路市に住む中学生。
詰める人と慣らす人、フタを閉める人と役割を分担し、アイスクリームを容器に詰めていきます。
乳製品加工研修施設

 

 体験者は「ここで作ると材料の準備をしなくていいから楽!仲間と会えて、おしゃべりをしながら作れるのが楽しいんだよね。はみ出しても、穴があっても手作りだからね。見えるところで作っているから安心安全だよね。」と話していました。

 

ここでの体験が好きで祖母と参加した中学生は「さけるチーズを作ると、売っているチーズはまっすぐさけるけれど、手作りは斜めにさけたりします。それでも、『自分が作ったんだな』というのを感じながら食べるのが楽しいんです。」と話していました。
乳製品加工研修施設 アイスクリーム製造体験

 

最後に、冷凍庫で固めて完成です。今回はバニラとストロベリーのアイスクリーム20kgができました。
乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

 

さあ、できたてのアイスクリームの味は?
休憩室で待っていたお孫さんたちが2人仲良くパクパク、モグモグ。
乳製品加工研修施設 アイスクリーム製造体験

 

作業が終わったら、しっかりと後片付け。
乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

 

 酪農家でもある皆さんにとって、牛乳はどんなものなのか伺うと「牛乳って大事!子どもの時から牛乳飲ませてもらったから骨が丈夫なの。だからこそ、牛乳って大事だなってと思う。」と話していました。
 アイスクリームが固まるまで、持ち寄った手作りのお漬物を食べ比べながらおしゃべりが続きました。
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 《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

牧場に一番近い味を届けるために~アイスクリームミックスづくり(食育レポートVol.33)

別海町の乳製品加工研修施設では、チーズ、アイスクリーム、バターの加工体験をすることができます。
チーズの加工体験はこちらをご覧ください
”乳製品加工研修施設”で体験!~べつかい乳業興社~(食育レポートVol.26)
乳製品加工研修施設

チーズに次いで人気なのが、アイスクリームづくりです。

バニラ、抹茶、いちご、チョコの4種類から選んで作ることができます。
原料のアイスクリームミックスは事前に専門職員が準備するため、普段目にすることはありません。
今回は、その裏方の様子を特別にご紹介します。

 乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

まず登場したのは、昔なつかしい牛乳輸送缶。
別海町研修牧場の牛から搾ったままの生乳(牛乳の原料)を、隣接の工場(べつかい乳業興社)から運んできました。

乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

▲かつて牧場から工場へ生乳を運んでいた牛乳輸送缶。
ここでは加工体験や新商品開発のための運搬に利用されています

 

冷蔵されていた生乳を湯せんで徐々に温めます。
湯せんは栄養素の損失が少ないのです。

乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

40℃まで上がったら、原料を溶かして混ぜます。

写真はバニラ味で、卵黄・グラニュー糖・脱脂粉乳・生クリームが主な材料。
乳化剤、保存料といった添加物を加えないのがこだわりです。

乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

▲「北海道は暖房で室内を暖かくし、冬でもアイスを食べるという人が多く、冬場も週1回くらい申し込みがあるんですよ」(職員談)

 

材料が生乳に溶けたら、60℃まで温度を上げます。

乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

 

ここで、 「ホモゲナイザー(均質機)」という、乳脂肪(脂肪球)を均一に細かくする機械を通します。
家庭で作るアイスクリームづくりと一番違うのは、この機械を使うところです。

では、乳脂肪の大きさを均一にするのは、何のため?

乳製品加工研修施設 アイスクリーム製造体験 ホモゲナイザー

搾ったままの生乳は、静かに置いておくと脂肪球が浮かび上がり、上にクリームの層ができます。この状態では、脂肪球の大きさはバラバラです。

これをホモゲナイザーに通すことで脂肪球が均一になって全体に散らばり、きめ細かなアイスクリームになります。また、途中で加えた原料も均一になります。
乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

※ホモゲナイズ…均質化すること

 

ホモゲナイザーを通って、滑らかなとろみがつきました。
乳製品加工研修施設

 

さて、この機械の上には、こんな工具が置かれています。
乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

 

実は、均一にする作業は数分で終わるのですが、毎回の分解洗浄と組み立てに数倍の時間がかかるのです。

職員は
組み立てだけで15分。大変だけど、この丁寧な行程を通すことで、美味しくなるんです。
加工体験も同じで、作業する手間を考えると買った方が簡単です。けれど、自分の目で見て、自分の手で作ることによって”安心・安全”というものをより強く感じていただけることが、この体験の魅力だと思います」
と話していました。

乳製品加工研修施設 アイスクリームづくり

▲ホモゲナイザー内部の洗浄は、工場で使用している殺菌水で行う

最後にアイスクリームミックスを86℃まで温め、30分殺菌します。
とろみがつくと、カレーを温めなおす時のように温度が上がりにくくなっています。

職員は
ものすごく暑い作業です。西日が当たると更に暑くなります。
以前はこの作業も体験してもらっていました。夏は週4回くらい製造することがあり、研修している横でこの準備作業をしていると”準備って大変だね”と言われます。
でも、牧場から届いて一切加工していない生乳で作るこのアイスクリームは、素材の味に一番近いと思って作っています」
と力を込めて語っていました。

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▲「ここで製造する乳製品は、本来、素材が持つ風味を損なわないよう、高温で殺菌しないのが持ち味なので、菌を持ちこまないように気を配っています」と話す職員

一般の方が参加する加工体験が始まる前に、これだけの作業が行われていること、知っていましたか?

加工体験では、このアイスクリームミックスを使うところからスタートします。
原料のミックスを、アイスクリームフリーザーで高速撹拌(かくはん)しながら急速に冷却し、固め、カップに詰め、冷凍する行程が、みなさんが体験できる部分。

乳製品加工研修施設 アイスクリーム

▲加工体験の一部

次回は、このアイスクリームミックスを使って実際に行われた、地元の女性たちによるアイスクリーム加工体験の様子をご紹介します。

乳製品加工研修施設

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

酪農女性がつながる機会に~JA道東あさひ フレッシュミズ交流会(食育レポートVol.32)

【生乳生産量全国1位を担う女性たち】

「JA道東あさひ」は酪農を中心とする農業協同組合で、JA単位での生乳生産量が全国で1位の37万t/年(平成26年)。別海町上春別・西春別・別海と根室市の4支部で構成されていて、北海道で生産する生乳の約1割を担っています。
JA道東あさひ


▲JA道東あさひ本所兼別海支所


農業協同組合女性部の中でも若い女性たちで構成されるグループ”フレッシュミズ”は、次世代の女性部組織を担うべく、部員同士の交流、地域行事への参加協力、酪農に関する学習会などを積極的に行っています。1年に一度の交流会が開催されると聞き、取材に伺いました。会場は別海町農漁村加工体験施設。6種類のパンと、ハンバーグのタネ、ピザの生地を作って持ち帰ります。
別海町農漁村加工体験施設

 

この日は35名が参加。子どもたちはJA道東あさひの職員と、見守りボランティア子育てサポート「もっくの会」が預かります。
JA道東あさひ フレッシュミズ交流会

 

【手を動かしながら弾む情報交換】

加工研修室(Ⅰ)ではパンを作ります。
朝の搾乳(さくにゅう)作業を終えた女性たちが次々に到着。作業が始まりました。
JA道東あさひ フレッシュミズ交流会

 

バターロール・チョコパン・クリームパン・ベーコンチーズロール・ベーコンエピ・ドライフルーツパンの6種類です。
べつかい乳業興社 農漁村加工体験施設 パンづくり

 

徐々に各地区から女性たちが集まってきて、あちこちから楽しそうな声が聞こえてきました。
DSC04395400

 

こちらはチョコパンの成形作業。チョコクリームには、別海牛乳が入っています。
JA道東あさひ フレッシュミズ交流会

 

大阪弁が聞こえてきました。大阪から嫁いできた皆さんです。
「別海町は大阪府枚方市と姉妹都市なので交流が多いんですよ!」
JA道東あさひ フレッシュミズ交流会

 

 小学校が開校記念日でお休みだった小学生も参加。楽しそうにピザ生地をこねていました。
JA道東あさひ フレッシュミズ交流会

 

専門職員に教えてもらいながら、パンが焼きあがってきました。
DSC04435640

 

その頃、加工研修室(Ⅱ)では、ハンバーグのタネづくりが始まっていました。
パン粉と同時に加えるのは、もちろん別海牛乳。
JA道東あさひ フレッシュミズ交流会

 

手を動かしながら、牧場の仕事で使っている資材のことや、搾乳作業で別々になりがちな家族との食事のとりかたなどを話し合っていました。農漁村加工体験施設

 

【酪農女性がつながる機会に】

この交流会を運営したJA道東あさひの溝口さんは「フレッシュミズの集まりは牧場のお嫁さんたちが交流する機会になっていて、この交流会の他にも各支部で色々な企画がされています。家族に食べ物を持ち帰ることができる企画はとても好評です。この施設は人気があってなかなか予約できないので、利用できて良かったです。」と話していました。

 

 この日の別海町農漁村加工体験施設利用者は年内最多。体験者の皆さんは交互に昼食をとり、すべての調理が終わったのは15時過ぎでした。家族へ沢山のお土産を手にして、女性たちは夕方から再び始まる牧場の仕事へ戻って行きました。
農漁村加工体験施設

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

新しい食文化の創造を~農漁村加工体験施設(食育レポートVol.31)

別海町には、広大な大地でゆったりと育った乳牛から搾った生乳を原料とした酪農乳製品をはじめ、豊かなオホーツクの内海でとれる海産物など、自然の恵みを受けて作る多くの食べ物があります。
それら地元で生産される農水産物を工夫して、新しい食文化の創造を目指すとともに、郷土の食文化を広く伝える場、人と人との交流の場として「農漁村加工体験施設」が平成12年に作られました。
オープンから15年、手作りによる食品を愛好する方たちの間で人気の施設となっています。


別海町農漁村加工体験施設

▲農漁村加工体験施設

 

農漁村加工体験施設は2部屋あり、それぞれ専門の職員に教わることができます。
加工研修室(Ⅰ)では、パン、カステラ、そば・うどん打ち体験などができます。別海町農漁村加工体験施設

 

加工研修室(Ⅱ)では肉や魚の燻製、山菜おこわや煮豆、角煮づくり体験などができます。
別海町農漁村加工体験施設

 

施設には食品加工用の機械が揃っており、色々な食材を調理することができます。
別海町農漁村加工体験施設の業務用設備

 

職員が使っているのは「モルダー」という機械。
分割した生地を入れると、パンづくりに重要なガス抜きと成形作業を一瞬で行うことができます。

別海町農漁村加工体験施設

▲「私はもともとパンを作るのが好きなんです。体験する女性たちは、たいてい家の仕事をしてからこの施設へ来ていますから、ひとときの気分転換に、楽しく作ってもらえればと考えています。」と話す加工研修室(Ⅰ)担当の専門職員

 

ハンバーグは、このような豚肉のブロックから作り始めます。
べつかい乳業興社 農漁村加工体験施設

 

家庭では材料を細かく刻んでから混ぜ合わせますが、フードカッターを使用すればあっという間です。
別海町農漁村加工体験施設

▲「楽しく、美味しく、安全に。みんなで和気あいあいと。持ち帰って家族で楽しく食べて、話のタネの一つになってもらえれば嬉しいです」と話す加工研修室(Ⅱ)担当の専門職員

 

この施設では、メニューに積極的に乳製品を使用しています。
たとえばパンの生地をこねる時は別海牛乳、ハンバーグのタネやピザには牛乳やチーズを使います。
農漁村加工体験施設ではべつかいの牛乳屋さんを使用

 

町内外の女性たちを中心に、幼稚園児から年配の方まで幅広い年代に利用されています。
次回は、加工研修を通して人と人との交流が行われている様子をお伝えします。
 DSC04395400

 《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

生産者の心を届ける仕事~べつかい乳業興社の社会科見学(食育レポートVol.30)

べつかい乳業興社の製品のひとつ、「べつかいの牛乳屋さん」。
べつかい乳業興社 べつかいの牛乳屋さん

▲「べつかいの牛乳屋さん」と別海りょウシくん

別海町の小学生は、毎日給食の時間に別海町産の牛乳「べつかいの牛乳屋さん」を飲んでいます。この身近な牛乳について学習するため、別海町の小学生は社会科見学で工場を訪れています。
給食に地元の食材を~別海町 学校給食センター~(食育レポートvol.13)

今回は、別海中央小学校3年生64名が社会科単元「調べよう 物を作る仕事」の学習の一環として、べつかい乳業興社を見学した様子をご紹介します。

 

授業では、工場見学前に、「べつかいの牛乳屋さん」について考えることからスタート!

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「ジュースより好き!飲みたい!」「色々な牛乳があるけど、一番飲みやすい」「別海限定?他の町の給食でも飲んでいるのかな?」

中には「牛は別海の宝物!」と言う児童がいて、みんながうなずいていました。
別海中央小学校 べつかい乳業興社見学 事前授業

「この牛乳、もともとはどこからきたのかな?予想してみて。」

「牛から牛乳パックがポロンと出てくるのかな?」という問いには、「牛のお乳が牛乳」という答えがすぐ出てきました。 
別海中央小学校 べつかい乳業興社見学 事前授業

家が酪農業の児童が「家族の人数よりも牛のほうが多いから搾乳(さくにゅう・乳しぼりのこと)に機械を使うけど、何時間もかかるんだよ。」と説明したり、「牛乳を運ぶのにタンクローリーを使う」と答えた子もいました。

別海中央小学校 べつかい乳業興社見学 事前授業

 

いよいよ見学の日。「べつかい乳業興社」へ到着しました。

別海中央小学校 べつかい乳業興社見学

見学は10数人のグループに分かれて行います。
右奥のドアから向こうが製造室。見学は、2階の見学者専用通路からガラス越しに行います。

別海中央小学校 べつかい乳業興社見学

階段を登ってすぐにあるのが、製品検査室。
ここでは容器につめた製品の検査をしています。

別海中央小学校 べつかい乳業興社見学

 

製品検査室の先には、大きなガラス窓。製造の様子を上から見られるようになっています。

別海中央小学校 べつかい乳業興社見学

 べつかい乳業興社では牛乳の他、チーズやアイス、ヨーグルトなどの乳製品を製造しています。→生乳生産量日本一、べつかいの乳製品を手から手へ。(食育レポートvol.5)

窓越しに、たくさんの機械と白衣の職員が見えます。
ここはチーズ製造室。下に見える黄色い液体がチーズ原料です。
別海中央小学校 べつかい乳業興社見学

 

ここは、牛乳をパックに詰める「牛乳充填室」です。
写真奥の銀色のタンクから、牛乳がパイプを通ってパックに充填されていきます。

べつかい乳業興社 別海中央小学校 社会科見学

▲「あのタンクは3トン。200mlの牛乳15,000個分が入っているんだよ」と説明を受ける児童たち

この工場では、一人の職員が一日に何種類もの製造をこなします。
そのうち、学校給食に届けられる200ml牛乳の製造は、この工場で朝一番の作業です。
見学の時間帯はすでに200mlパックの製造を終え、べつかいの低脂肪牛乳(1Lパック)を製造していました。

べつかい乳業興社 別海中央小学校 社会科見学

 

見学通路には、牛乳の原料を届けてくれる牧場のしごとや牛の一生などについての解説があります。

別海中央小学校 べつかい乳業興社見学

施設の見学を終えてロビーに戻ると、素敵なプレゼントが待っていました。

べつかいののむヨーグルト屋さん いちご味

  
「べつかいののむヨーグルト屋さんいちご味」(写真提供:べつかい乳業興社)

別海中央小学校 べつかい乳業興社見学

▲ 「おいし~い!」という声があちこちから。

施設見学を終え、改めて、べつかい乳業興社の職員が、牛乳が学校や食卓へ届くまでを説明します。

「別海は漁業と酪農が盛んですよね。
乳製品の原料になる生乳は、日本全国での生産量のうち約6%、乳牛の頭数は人口の約7倍です(102,880頭 H26.2.1現在)。
別海の酪農家さんが愛情をかけて牛を育て、牛を育てる牧草を育て、牧草を育てる土を大切に育てているから、別海の生乳は乳質が良く、乳脂肪が多く、おいしい牛乳を飲むことができるのです。
そのままの味が一番美味しいから、そのままの品質で消費者の皆さんに届けるのが私たちの役目です。
別海中央小学校 べつかい乳業興社見学

 

質問コーナーでは、事前学習で疑問に思っていたことや、見学してみて気になったことが挙がりました。

Q.製造作業は何時頃から?
A.作業は朝4時から。忙しい時は日付の変わる0時から作業をします。

Q.牛乳は牛から搾ってそのまま飲めないの?水で洗ったり、消毒液を入れるのかな?
A.搾ったままの状態(生乳)で売ることは、食品衛生法でできないことになっています。なので、清浄機や遠心分離機を使ったり、90℃で30秒間加熱して殺菌し、商品にしているのです。

Q.牛乳パックに書いてある”HTST法”って?
A.72℃以上で15秒以上加熱するという殺菌方法です。牛乳そのものが良いので、そのしぼりたての味わいを残すためにこの方法を使っています。

 

今回の見学を担当した営業推進部 西條部長は 「私たちは商品を作るのが仕事です。それは、生乳を生産する酪農家の方がいて、買って下さる消費者の皆さんがいるから成り立つ仕事です」と話していました。

別海中央小学校 べつかい乳業興社見学 

学校へ戻ったこどもたちは、見学を通してわかったことを振り返りました。
続いて、授業のまとめとして、別海町消費者協会の主催する「牛乳パッケージイメージデザインコンクール」のデザインに挑戦しました。
別海中央小学校  牛乳パッケージイメージデザインコンクール

ひとりひとりの想いをパッケージデザインに描きます。
担任の佐藤先生は、「毎日給食で飲んでいる牛乳のことを工場見学で学び、より牛乳への想いが深まったようです。”知る”ということは大事だなと思います。ただ牛がいれば牛乳ができるというわけではなく、沢山の人の努力や支えでできるものだと気付いてほしいです」と話していました。

別海中央小学校  牛乳パッケージイメージデザインコンクール

 

別海中央小学校  牛乳パッケージイメージデザインコンクール

▲べつかい乳業興社を見学した別海中央小学校3年1組のみなさん

 

 《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

西別鮭ブランドに迫る ④寒風仕立て 献上造り(食育レポートvol.29)

 朝方の気温が氷点下を記録するようになる11月上旬。
別海漁業協同組合では、”寒風仕立て 献上造り”の寒干し作業が始まります。

別海漁業協同組合の加工品”寒風仕立て 献上造り”の特徴は、山漬けをほどよく塩抜きし、さらに寒風で干すことによってうま味を凝縮しているところ。
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作業が本格化した11月中旬のこの日、朝7時の気温は氷点下4℃。

7時半頃から準備が始まりました。
別海漁業協同組合 寒風仕立て 献上造り

 72時間以上塩漬けし、前日に塩抜きした西別鮭を海水で洗うところから作業は始まります。

別海漁業協同組合 寒風仕立て 献上造り

 

エラから口に紐を通します。
別海漁業協同組合 寒風仕立て 献上造り

別海漁業協同組合 寒風仕立て 献上造り

腹が太陽を向くように垂木(たるき)に紐を掛けます。
そして、”はらぼっこ”と呼ぶ小枝を腹の部分に当て、まんべんなく風が行き渡るようにします。太陽にお腹を向けるのは、お腹のほうが傷むのが早いから。
別海漁業協同組合 寒風仕立て 献上造り

上下2段に並べ、網を掛けて乾き具合を見ながら3日程度干します。
干すと旨味とともに塩気が濃縮されるので、塩抜きはそれを計算して調整しています。
別海漁業協同組合 寒風仕立て 献上造り

 紐掛けから干すまでの動画をご覧下さい。 (動画1分04秒)

今回は全5回のうち3回目。今までで最も多い900尾を干しました。寒くなればなるほど、旨味がぐっと増すそうです。
別海漁業協同組合 寒風仕立て 献上造り

早朝、海へ出て西別鮭をとってきた漁師さんたちが作っている製品。
取材中、印象に残った漁師さんの言葉があります。
「(工程の)ひとつひとつ、とても手間がかかります。 しかし、(獲るところから)、一から作った達成感があるんです。」
別海漁業協同組合 寒風仕立て 献上造り

”寒風仕立て 献上造り”の寒干し作業は、毎年11月上旬頃~12月上旬頃の約1ヶ月間行われます。

別海漁業協同組合 寒風仕立て 献上造り

 

 《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

西別鮭ブランドに迫る ③山漬造り(食育レポートvol.28)

冷蔵設備のなかった昔、長期保存の方法として漁師さんが考えだした”山漬造り”。
保存方法としてだけでなく、水分をほどよく抜くことでうま味が凝縮されます。
別海漁業協同組合 山漬造り

                         (”山漬造り” 写真提供:別海漁業協同組合)

 

別海漁業協同組合の加工品”山漬造り”は、塩抜きをして焼き魚や三平汁にするだけでなく、
北海道の伝統的な漬物”はさみ漬け”などには欠かせない塩分10%以上、一本物の激辛の”山漬造り”と、ご家庭で山漬を手軽に楽しんでいただくため塩分が4~8%に抑えて塩抜きをした中辛の”山漬 姿切り身” があります。
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                     (”山漬 姿切り身” 写真提供:別海漁業協同組合) 

 

 

 山漬造りに使う西別鮭は、すべて身のしまりのいいオス鮭。
”山漬 姿切り身”は72時間以上、”山漬造り”は4週間かけて塩漬けし、熟成させています。
その間、何度も手返しを行います。

 

手返しの様子です。左のタンクから右へ移し替えます。
別海漁業協同組合 山漬造りの手返し

 

これは左側にある状態。塩が水分を含んでいます。
別海漁業協同組合 山漬造りの手返し

 

サケを山のように重ねることから、”山漬”と呼ばれています。
別海漁業協同組合 山漬造りの手返し

 

 

この状態へ、更に塩を振り、熟成を促します。
別海漁業協同組合 山漬造りの手返し

 

右のタンクへ並べ替えます。
別海漁業協同組合 山漬造り

 

並べ終わったらムシロを掛け、重しを乗せて再び寝かせます。4週間熟成させる”山漬造り”では、この作業を数回繰り返します。水分を抜き、塩分を均一に広げて西別鮭の持つ旨味を凝縮させるのです。
別海漁業協同組合 山漬造りの手返し

 

その後激辛の”山漬造り”は塩のついたまま、中辛の”山漬 姿切り身”は1日塩を抜き、切り身にして4分割の真空パックにし、全国へ発送されていきます。
別海漁業協同組合 山漬姿切り身

 

 

別海漁業協同組合 山漬造り

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

浜のおふくろの味~民宿海の宿 みさき~(食育レポートVol. 27)

『民宿海の宿 みさき』は、別海町の海岸部、尾岱沼漁港の北側に位置する民宿。
民宿海の宿 みさき 外観

2人の息子さんが漁師と水産加工場の競り師(せりし)をしており、食事はその日にとれた新鮮な海の幸を提供しています。

 

この日のメインは、12月から漁が始まったホタテ5品を含めた12品。
民宿海の宿 みさき 2014年12月3日の夕食

 

まずは、ホタテの刺し身と尾岱沼名産、茹で北海しまえび。
DSC06269


椀物は、帯広産ジャガイモのいもだんご汁。
ゆでたジャガイモを潰し、片栗粉を加え棒状にして、輪切りにしたものが入っています。
ジャガイモは、以前宿泊したお客様が送って下さったのだそうです。
民宿海の宿 みさき だんご汁

いもだんご

 

ホタテは、貝とウロ、卵の中の消化腺以外すべて食べることができます。
貝柱とミミ(貝ひも)は生、加熱、どちらでも食べることができます。
貝柱よりもおいしいと言う人もいるミミは、尾岱沼では貝柱の刺し身とともに出されます。

 こちらはホタテのミミを長ネギとダシ汁で味付けした和え物。
民宿海の宿 みさき ホタテの貝ひもの和え物

 ホタテの子(卵)は大根と一緒に煮物に。ホタテを隅々まで味わうことができます。民宿海の宿 みさき ホタテの卵と白子の煮物

 刺し身のほか、この日水揚げされたホタテの貝柱をフライに。

身が厚いため、一粒を半分に開いて揚げています。
付け合わせには、帯広産レッドムーンのポテトサラダ。北海道尽くしです。
民宿海の宿 みさき ホタテのフライ

 コマイの小ぶりのものを、この地域周辺では”ゴタッペ”と呼んでいます。

こちらはゴタッペの頭を落とし、一夜干しにして、それを唐揚げにしたもの。民宿海の宿 みさき ゴタッペ(幼魚)の唐揚げ

 ホタテのミミの佃煮。

民宿海の宿 みさき ホタテの貝ヒモの佃煮

▲「佃煮は混ぜご飯にしたり、ごぼうきんぴらに入れても美味しいのよ」と、”おかあさん”こと富崎恵美子さん

 尾岱沼漁港に水揚げされた秋サケのイクラ塩漬け。

 ゴタッペと大根の魚漬けです。

 民宿海の宿 みさき コマイと大根の魚漬け

 

”民宿海の宿 みさき”は、昭和63年開業。
もともと隣に自宅があり、前の経営者から譲り受けた民宿で、漁師だった亡きご主人の勧めで開業。

「『漁師が”うまい”というものは、お客さんもうまいって言うべ。』って主人に言われたの。
もともと民宿を始める前から、『ご飯食べてけ』って、人がご飯を食べに来る家で、その時の”食を囲む”ということが今の民宿につながっているんだろうと。これは、主人が残してくれたものなんだなって思っているの」
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▲「ほら、できたわよ。撮る?」と見せて下さる富崎さん

  北海道釧路市から泊まりに来た男性は「魚がうまい。釧路でもホタテはとれるけど、ここのはまた味が違う。ホタテの刺し身は新鮮でうまかった。」 とおっしゃっていました。

宿泊するのは家族連れや職場の仲間同士、アマチュアカメラマンや工事関係者など様々。
リピーターが多いのだそうです。

お客様が釣ってきた魚や、摘んできた山菜を調理してくれるのもこの宿の特徴。
暖かくなってくると、地元でとれた野菜やその時期の旬の山菜など、自然の恵みを味わうことができます。
「このあたりでは食べないものも、作り方を教えてもらい作るわよ」と富崎さん。

「親戚の家に遊びに来る感じで来て欲しいの。所詮漁師のお母さんだから。もてなすと疲れちゃうじゃない。都会から何度も来てくれる人は、秒刻みの生活をしているとこの時間の流れに癒されるんだろうなぁと思いますよ」

朝食には、<泊まって食べる新・OMOTENASHI朝食グルメ>「別海ジャンボ鮭茶漬け」を選ぶことができます。

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 ▲この日の夕食メニュー(内容はその日によって異なります)

・ホタテのフライ
・ポテトサラダ(帯広産)
・コマイの塩焼き
・ホタテのミミの佃煮
・塩いくら
・ゴタッペと大根の魚漬け
・北海しまえび
・ホタテの刺身
・ジャガイモのだんご汁(帯広産)
・ホタテの子と大根の煮物
・ホタテのミミの和え物
・白飯(北海道産米)
※記載のないものはすべて尾岱沼漁港で水揚げされたものです

 

 《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

”乳製品加工研修施設”でチーズ製造体験!~べつかい乳業興社~(食育レポートVol.26)

 べつかい乳業興社では、”べつかい”ブランドの乳製品を製造している他、”乳製品加工研修施設”と”農加工体験施設”における消費者の受け入れをしており、さまざまな加工体験をすることができます。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験

 

”乳加工体験施設”では、チーズやアイスクリーム、バターなど乳製品づくりを体験することができます。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

 ▲乳製品加工研修施設

チーズは”さけーる”(ストリングタイプ)とゴーダタイプを作ることができます。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

 ▲ゴーダタイプのチーズ

 アイスクリームはバニラ、抹茶、いちご、チョコの4種類から選んで作ることができます。


 ▲併設の工場で生産しているべつかいのアイスクリーム屋さん
                      (写真提供:べつかい乳業興社)

 

実はこの施設、ご利用希望日の3ヶ月前から予約が可能ですが、手作りが好きな地元のリピーターで予約困難な施設でもあります。

今回はストリングタイプのチーズづくりを体験する、町内の女性5人の作業を見せていただきました。

 

 午前10時からチーズ原料を作り、午後からは成型の作業です。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験

 

 

 作業は職員がサポートします。チーズ原料がしっかりと伸びるか確認しています。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

 ▲「口コミで新しいお申込みが増えていて、嬉しく思っています。ぜひ体験してみて下さい!」と、乳加工担当の守川さん

 

 取り出したチーズ原料です。生乳60kgから、約6kgのチーズ原料ができます。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

 

 

 これをカットして、熱湯で伸びやすくします。
軍手とゴム手袋を重ねて使用しますが、やけどに注意。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

 

伸ばしては折りたたみ、ストリングタイプの筋を作っていきます。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

 

筋を作ったら、金型に合わせてカットします。
カットして余ったらまた熱湯で伸ばし、金型へ。余すところはありません。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

 

 成形が終わると水で冷やし、塩水に漬けます。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

 

漬け終わったら水分をとり、カットして密封。完成です。
べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

べつかい乳業興社 チーズづくり体験 乳製品加工研修施設

出来上がったチーズをどうするのか、利用していた方に伺いました。
「家で子どもたちが大喜びで食べます。ご近所にも配ると『おいしい』と言っていただけるんです。それから、本州の実家に『私たちのマチの牛乳で作ったチーズよ』と送ると、喜んでくれます。なので、また作りたくなるんです。」

べつかい乳業興社は、生産工場での研修についてこう語っています。
「(株)べつかい乳業興社は、牛乳の消費拡大と町民の健康増進、体力向上を図り、安全で良質な乳製品の提供とともに、別海ブランドのイメージ向上やコストの低減を図り食文化創造の拠点づくりの場として平成14年4月生産を開始しました。別海町でのチーズ消費量が、ここ5~6年でぐっと増えてきました。この施設には、乳製品製造のための特別な機器が揃っています。また、乳加工施設は工場側に位置しており、衛生管理をより徹底することができます。ここで研修することで食への興味を持ってもらえたら、それがスローフードやグリーン・ツーリズムにつながると思っています。研修で製造できるものは限りがありますが、作ってみて、食べてみて、グループやサークルの交流の場になってほしいです。」

 

今回利用した5人の女性たち。
一人1キロ以上のチーズを家族やご近所へのお土産に、施設をあとにしました。

 

 《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

子どもたちに生産者の顔を~漁協青年部の出前授業~(食育レポートVol.25)

別海町の別海・野付漁業協同組合青年部では、
町内の小学校で「サケ」について教える出前授業を毎年行っています。
別海町の小学校9校のうち、今年度出前授業を開催したのは6校。
そのうち、2校の様子を見せていただきました。

この日は”西別鮭”が遡上する西別川を挟んで別海漁業協同組合がある別海小学校。
5・6年生12人が秋サケ漁の方法や網の直し方、さばき方を学びました。
出前授業 別海小

 

はじめに別海漁業協同組合青年部長の道又隆史さんが
映像と模型で秋サケ定置網漁について説明します。
出前授業 別海小

 
 ▲別海漁協青年部長 道又隆史さん
  「自分たちの仕事のことを知ってほしい、と思って始めた取り組みです。
   スーパーへ行くとき、魚コーナーを気にかけてもらえれば嬉しいです。」

 

 秋サケが障害物にぶつかると沖に向かって泳ぐ習性を利用して漁を行っていること、
”手網”という網に沿って、”金庫”と呼ばれる秋サケの溜まる場所へ誘導される様子を
模型を使って説明します。
「網を起こす場所はこの教室よりも大きいよ!」と、道又さん。出前授業 別海中央小学校

 ▲反対側にも同じ”手網”があり、漁では赤丸の部分(金庫)をそれぞれ引き揚げる

 

漁の最中に切れてしまう網やロープを修復する”漁師の技”の実演。
児童がハサミで網を切り、それを見事に修復していきます。
出前授業 別海小

 出前授業 別海小

 出前授業 漁師の技 網の修理

 

小学生からは「何時から何時まで作業しているのですか?」と質問がありました。
「2時から。8時のセリまでに間に合わせるように作業を終わらせます。
みんな起きた時お父さんいないしょ?」
と道又さんの答えに、子どもたちはうなずいていました。
出前授業 別海小

 

2時間目は、秋サケの三枚おろしとイクラづくりを体験します。
1グループ4名での作業です。
全員でお手本を見たあと、グループごとにマキリ包丁を使って三枚おろしにします。
出前授業 別海小

 

「包丁をあてたとき、骨のあたりからコリコリと音が聞こえたほうがいいんだよ」
と教える青年部員。
出前授業 別海小

子どもたちは

「めちゃ緊張した!」
「身がなくなっちゃった!あ~あ。」と、なかなか難しかった様子。

中には、「心臓ほしい!」とみんなから心臓を集める子がいました。
「(美味しい部分が)わかってるねぇ」と青年部員に言われていました。
出前授業 別海小

 ▲サケの心臓は大人の親指くらいの大きさ。塩焼きにすると美味

 

メスの秋サケから取り出した筋子は醤油漬けにして、翌日みんなで食べるそうです。
出前授業 別海小 筋子

 

 

最後にお礼の挨拶。
道又さんが「みんなアキアジ(秋サケ)毎日食べてる?おいしいしょ?食べてよ!」と言うと、
漁師の家庭の児童代表が
「(漁師を)継ぐときには青年部に入りたいです」と挨拶していました。
 出前授業 別海小

 

 

翌日は、別海町の内陸部にある別海中央小学校の4年生71名が体験しました。

この日は野付漁業協同組合青年部長 安達隼人さんが解説します。
「サケは潮の流れに乗っているので、全部同じ方向を向いている。
最後の網は人の力で上げる。4年生なら30人位いないと最後の網は上がらないよ!
出前授業 別海中央小学校

 ▲野付漁協青年部長の安達隼人さん
  「今の子どもたちは魚を切り身で見ることが多い。
  生産者の顔、苦労して獲っていることを知ってほしい。
  自分たちのしていること、すべてを伝えたい。」

 

今年は海水温の上昇の影響か、ブリがかかるそうです。
時にはタコやマンボウが網に入っていたとか。

 

港での選別作業では、キズのある秋サケが映りました。
安達さんが「どうして傷ついたかわかる?」と質問すると

児童は「網?」「ケンカ?」と答えます。

正解は…アザラシ!

「え~っ!?」と、どよめきが起こりました。
「水族館で見ると可愛いけど、被害が大きいんだ。」
出前授業 別海中央小学校

 ▲赤丸の部分がアザラシに傷つけられた部分

 
次は、網とロープを修復する”漁師の技”の実演です。
1-horz

 

つないだロープを渡された子どもたち。
子どもたちが何人引っ張っても切れません。
出前授業 別海中央小学校

 

 

秋サケの三枚おろし実習は
6~8人グループで2教室使っての実習です。
出前授業 別海中央小学校


出前授業 別海中央小学校

 

触るのを怖がる子、興味いっぱいの子。
出前授業 別海中央小学校

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 ▲児童「心臓ちっちゃ!」

 

無事全員さばき終え、
家族へのお土産を持って帰りました。
出前授業 別海中央小学校

 

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

”酪農教育ファーム”で田舎体験~オシダファーム(食育レポートVol.24)

”農場の宿”ファームインを経営している”オシダファーム”。
 押田栄司さん、美恵子さん夫妻の移住や食への取り組みはこちら。(食育レポート Vol. 7

今回は、小学生の酪農体験の様子を見せていただきました。
今回参加したのは、近隣の町から体験に来た小学4年生。
美恵子さんと、生まれたばかりの子牛のいる小屋へ向かいました。
オシダファーム 酪農体験

 

子牛は親牛が出産の疲れで押し潰したりすることがあるため、離して育てています。
「この子の名前は”オペラ”。ミュージカルを見に行った日に生まれたの。」と、美恵子さん。
オシダファーム 生まれたばかりの子牛

 

美恵子さんの指導で、
哺乳瓶を使って子牛が飲みやすい角度と力加減を教わりながらミルクを飲ませます。
IMG_4458640

 ▲子牛の吸う力で引っ張られてしまう

オシダファーム 子牛への哺乳体験

 ▲立っている母牛から飲むように、斜め上から飲ませる

美恵子さんは質問します。
「どうして子牛は生まれてすぐに立つと思う?」
大人がミルクを飲ませてくれる人間と違い、
自分からミルクを飲みに行かなければならないことを教えました。

子牛は一週間ほどで草を食べ始めます。
そのために、子牛には生まれた時から歯が生えていることを伝えます。
実際に口の中に手を入れさせることもあるそうです。オシダファーム 子牛への哺乳体験

 

少し大きくなった子牛には飼料と牧草を運びます。
オシダファーム 少し大きな子牛へ飼料を与える作業

 

栄司さんと別の小屋へ移動し、
牛が牧草を消化する仕組みを学びました。
IMG_3163640

 

「どうして牛はおっぱいに穴があいているのにいつも出てこないの?」
という質問に、搾って出てくる牛のお乳の仕組みと
搾乳の方法を教える栄司さん。
オシダファーム  酪農教育ファームファシリテーターの押田さん

 

押田家の皆さんは母牛の搾乳作業を始めていましたが、
小学生は牛の足で蹴られたりすると危険なので、小学生は子牛の体験です。

 

次は、鞍をつけたポニーにまたがって手綱の引き方を教えてもらいます。
ポニーの乗馬体験です。
何周も繰り返していると、自分で御すことができるようになりました。
オシダファーム ポニー乗馬体験

 

その頃、ファームインには宿泊者が到着しました。

今度は宿泊者と一緒にポニーの馬車に乗り、牧場の敷地を巡りながら
牛舎の歴史やトラクターなど酪農設備の説明を聞きました。
オシダファーム ポニーの引き馬体験

 

 オシダファーム ポニーの引き馬とロールメッセージ

▲宿泊者が書いた牧草ロールメッセージ

 

この日の宿泊者は、東京都と埼玉県からいらっしゃっていました。
「道路から牛を見たことはありましたが、こんなに間近で見られるとは」と感動していました。
オシダファーム 本州からの宿泊者

 ▲牛の前で記念撮影

 

オシダファームで勧めているのは、”田舎体験を牧場で”。
「ここには牛も馬もヤギもいる。
年齢に応じて、動物との交流や料理などここでしかできない色々な”田舎体験”をして欲しい。」
と栄司さんはおっしゃいます。

「ポニーに乗れるようになったから、次は馬に乗せてあげよう。」と、栄司さん。
来るたびに違った体験ができそうです。

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

尾岱沼の夏と秋の風物詩~北海シマエビ“打瀬舟漁”~(食育レポートvol.23)

野付湾では北海シマエビ2014年秋漁が始まりました。
北海シマエビ漁

 

 野付湾で行う北海シマエビ漁は、明治時代から伝わる打瀬舟漁です。
風を受け、三角の帆をはためかせて静かにすべる打瀬舟の情景は野付湾の風物詩になっています。

北海シマエビ(和名:ホッカイエビ)は、その名の通り、緑褐色の体に数本の白いシマを 持っています。
北海シマエビ

 ▲海の中では緑褐色。茹でると朱色になる

 

打瀬舟で漁を行うのは、北海シマエビのすみかであるアマモを船のスクリューで傷つけることを防ぐため。
北海シマエビの快適な環境を守りつつ、豊かな恵みの一部をそっと分けてもらう漁なのです。 野付湾に育つアマモ

 

 

【打瀬舟の出漁】

別海町の10月末頃の日の出は、5時50分頃。
2014年秋漁初日は、日が昇り始めたばかりの6時30分、野付漁港の南側から出漁しました。
北海シマエビ漁 出港直前の様子

 

北海シマエビ漁 出漁前

 ▲打瀬舟を帆を立てるのも、広げるのも手作業

 

【漁模様は風次第】

打瀬舟は1人乗り。初日に出漁したのは29隻。
風を利用して船を動かし、網を徐々に移動させて北海シマエビを網に取り込むことから、風が強すぎたり、逆に無風であったりすると網を引くことができず、漁をすることができないのです。

(動画 22秒)

 朝日を浴びて揺れる打瀬舟

 

 

また、風向きによって網を引く方向が変わるので、漁場を移動します。
このため、浜の近くで漁を行う場合や、半島の近くで行う場合と、日によってさまざまです。
北海シマエビ漁

▲この日は漁港の南側、漁協の見える場所で漁を行った

 

【美味しさの秘密】

野付湾の打瀬舟漁は、ひき網で漁をします。
そのため、エビ本来の味を味わうことができます。
北海シマエビ漁 曳網

 ▲網を引き、エビを選別する間は帆を閉じる

 

北海シマエビは鮮度が命。
選別したあとロープをつないだカゴに入れて海に沈め、港まで生きたまま運びます。
北海シマエビ漁 生きたまま港へ

     北海シマエビ セリ前

 

 

【シマエビを守るために】

 夏漁と秋漁の前に資源調査を行い(食育レポート vol.1参照)、
推定資源量を調べ、漁獲許容量を決定しています。
また、9センチに満たないエビは資源保護のため、
網を揚げたあとその場で海に戻しています。
北海シマエビ漁 エビの選別

 

 選別が終わったあと漁場を移動し、再び帆を張り、漁を続けます。
北海シマエビ漁 次の漁場へ

 

今季のセリは14時30分。 
それまでに漁獲許容量に達した場合、その日の漁は終了。
また、天候を見て船団長の判断で引き揚げる場合もあります。
北海シマエビ漁 船団長の旗

 ▲舳先(へさき)にあるカラフルな布が、合図を出す船団長の旗

 

操業期間は、夏漁は例年6月下旬から、秋漁は10月下旬からの約1ヶ月間です。
(資源保護のために漁獲許容量を設け、操業期間が早く終漁する場合があります)

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

まきばのチーズづくりを訪ねて~河﨑牧場チーズ工房 ②成形~熟成(食育レポートvol.22)

別海町で牧場を営みながらチーズを製造している”河﨑牧場チーズ工房”。

前回のレポートでは、6時間かけて100Lの生乳から約10kgのカード(凝乳)を取り出しました。cats3

 

いよいよ成形作業に入ります。
80℃のお湯に入れます。
河﨑牧場チーズ工房 チーズの成形

 

 

よく伸びるようにお湯に漬けながら成形します。河﨑牧場チーズ工房 チーズの成形

 


カチョカバロタイプ”まきばのしずく”の成形を動画でご覧下さい。(45秒)

 河﨑牧場チーズ工房 ”まきばのしずく”の成形

 

 

成形が終わり、水に浮かべられた”まきばのしずく”。
河﨑さんは時折「おいしくなあれ」と声を掛けていました。
 河﨑牧場チーズ工房 成形の終わった”まきばのしずく”

 

”まきばのしずく”の成形が終わると、
さけるタイプ”まきばの小枝”の成形です。
カードを何度も折りたたんで筋を作り、伸ばします。
河﨑牧場チーズ工房 ”まきばの小枝”の成形

 

最後は水の中で腕いっぱいに伸ばします。
河﨑牧場チーズ工房 ”まきばの小枝”の成形

 

100Lの生乳ですべて”まきばのしずく”を作ると、出来上がるのは46個。
”まきばの小枝”なら、腕いっぱいの長さを28本作ることができます。
同じチーズ原料から、注文に応じて配分します。

 


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▲朝、同じ場所にあった100Lの生乳が約1/10量のチーズに

 

冷却槽で商品の形に固まったら、”まきばの小枝”をカットします。
河﨑牧場チーズ工房 ”まきばの小枝”のカット

 

保存性を高めるため、一度殺菌して冷やした塩水に漬けます。
チーズの塩味はここで決まります。
河﨑牧場チーズ工房 塩水漬け

 

 

塩水に漬け終わった”まきばの小枝”を見ると、いくつもの筋が見えています。
”まきばの小枝”の由来を河﨑さんに伺うと、
「手作りなので太くも細くもなる。木の小枝はどんなに太くても細くても”小枝”だから」と
笑いながらおっしゃっていました。
河﨑牧場チーズ工房 塩水に漬け終わった”まきばの小枝"

 

熟成庫に並べて一晩置き、塩分を全体に行き渡らせます。河﨑牧場チーズ工房 熟成庫に並べた”まきばの小枝”

 

”まきばのしずく”も塩水から取り出し、表面の水分を拭き取りました。
個性のある”顔”が並んでいます。
河﨑牧場チーズ工房 紐掛け前の”まきばのしずく”

 

消毒した紐を掛けて
河﨑牧場チーズ工房 紐掛けした”まきばのしずく”

 

熟成庫に吊るします。
”まきばのしずく”は2週間ほど熟成させます。 河﨑牧場チーズ工房 熟成庫に吊るされた”まきばのしずく”

▲右側がこの日製造したもの、左側が10日前に製造したもの。

 

成形作業が終わったのは17時過ぎ。
このあと後片付けをし、同じく熟成庫で熟成中の
ゴーダタイプ“まきばのめぐみ”の上下を反転させたりして終了です。
 河﨑牧場チーズ工房 熟成庫

▲下で熟成中なのが”まきばのめぐみ”。3ヶ月熟成させます。

 

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

まきばのチーズづくりを訪ねて~河﨑牧場チーズ工房 ①チーズ原料ができるまで(食育レポートVol.21)

別海町で牧場を営みながらチーズを製造している”河﨑牧場チーズ工房”。

ここではチーズの中でも
カチョカバロタイプの”まきばのしずく”
さけるタイプの”まきばの小枝”
そしてゴーダタイプの”まきばのめぐみ”を製造しています。
kawasaki-cheese640t

今回はひょうたんの形が印象的な”まきばのしずく”と、
さいて食べるのが楽しい”まきばの小枝”の製造工程を見せていただきました。

 

河﨑さんがチーズ作りを行うのは月に8~10回。
この日は午前4時過ぎに起きて牧場の仕事と家事を済ませ、
午前9時頃から作業が始まりました。

 

【乳製品の管理は何重ものガード】

まずは牛舎横のバルククーラー(生乳を冷やしているタンク)から、
その日搾ったばかりの生乳を取り出して工房へ運びます。
屋外を通って運ぶため、一度生乳搬入室に生乳を置いたあと
河﨑さんはシャワーを浴びて着替えます。ほこりや虫が入らないように気を遣う作業です。
生乳の運搬

▲「チーズは力仕事なんです。
 これを持てなくなったら(チーズづくりを)やめます」(河﨑さん)

 

 
チーズの原料 河﨑牧場の生乳

 
▲これがチーズの原料、河﨑牧場の生乳。8時間かけて1/10の量のチーズになる

 

運搬と消毒を繰り返し、
チーズ製造室の中心にある”チーズバット”へ生乳を入れたのは約1時間後。
さらに、チーズバットの中で63℃以上30分の低温殺菌を行います。
河﨑牧場チーズ工房 チーズ製造 低温殺菌

 

殺菌が終わると、
”スターター(乳酸菌)”を入れて30分置き、乳酸を作り出し、たんぱく質を分解して風味を出します。さらに、”塩化カルシウム”と牛乳を固まらせる”レンネット(凝乳酵素)”を加えます。

 

こうして生乳がホエイ(乳清)と分離し、絹ごし豆腐のように固まったものを
”カード(凝乳)”と言います。
これを細かく切って撹拌しながら、30分かけて温度を10℃上げていきます。
急激に温度を上げるとカードの表面に膜ができて固くなり、
水分が抜けにくくなったり苦くなったりするのでゆっくりと温度を上げるのだそうです。河﨑牧場チーズ工房 カードのカット

 

 

分離したホエイ(乳清)を抜きます。
河﨑牧場チーズ工房 ホエーを抜く作業

 

カードに縦横の溝を作り、20分ごとに6回上下を反転して、
カード自体の重みでじっくりとホエーを抜いていきます。
2時間後。
絹ごし豆腐のような柔らかさだったのが片手で持ち上げられるようになりました。
この間にもカードは乳酸によって発酵が進んでいます。
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このあと、いよいよチーズの成形作業です。

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

西別鮭ブランドに迫る ②イクラ製品(食育レポートvol.20)

前回は、別海漁業協同組合 ”西別鮭 甘塩造り”の工程をお伝えしました。
甘塩造り

  甘塩造り (写真提供:別海漁業協同組合)

 

西別鮭の栽割でメスから取り出した筋子は、
隣にある西別さけ加工施設で”イクラ塩漬”と”イクラ醤油漬”に加工されます。
イクラ醤油漬

  イクラ醤油漬 (写真提供:別海漁業協同組合)

 

 今回はこのイクラの製造工程を取材しました。

 

【あると便利!”筋子ほぐし”】

まずは専用の機械で筋子をほぐします。
イクラ加工 (筋子ほぐし)

 

▲筋子をほぐす様子  (動画 20秒)

 

※ご自宅で作業する場合は、
餅を焼く網などを使用すると作業が楽になります。
筋子ほぐし 家庭は餅を焼く網で

 

 

【人の目で、隅々までチェック】

ほぐしたいくらを、塩水で何度も洗います。
イクラ加工 (塩水洗い)


 

一旦水気を切り
イクラ加工 (イクラの水切り)

ピンセットで検卵します。
イクラ加工 (イクラの検卵)

 

一粒一粒、丁寧に確認しています。
根気のいる作業です。
イクラ加工 (イクラの検卵)

 

▲細かい手作業を動画でご覧ください (動画 17秒)

 

【味付けは”機械”と”経験”】

そのあと塩を溶かした撹拌機に入れ、均一になるよう味付けをします。
イクラの加工 (イクラの味付け)

 

▲イクラ味付けの様子(動画 25秒)

味付けの分量は決まっていますが、水の温度、塩の溶け具合、
その日のイクラの状態で味付けの時間を長年の経験で調節します。

 

「いくら塩漬」のできあがりです。
イクラ加工 (塩イクラ)

 

 計量して包装したものを別棟で化粧箱に入れ、出荷を待ちます。
こちらは前日に製造した”イクラ醤油漬”の箱詰め作業です。
イクラ加工 (イクラ醤油漬箱詰め)

お歳暮に向けて、全国から申し込みが増えているそうです。

 

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

 

農業で人づくり~別海高等学校と別海くるみ幼稚園の取り組み(食育レポートvol.19)

秋晴れのある日。

別海高校 酪農経営科の1~3年生43名と、別海くるみ幼稚園の3歳~6歳園児80名が
北海道別海高等学校の畑でジャガイモを収穫し、
塩ゆでしたジャガイモを食べて交流しました。

100平方メートルあるジャガイモ畑を横に、
まずは向かい合ってご挨拶。
別海高校酪農経営科の生徒と別海くるみ幼稚園の園児たち

 

それから高校生1人に園児2~3名で
手をつないで奥のジャガイモ畑へ移動していきます。
高校生と幼稚園児がじゃがいも畑へ

 

5月に幼稚園児がジャガイモを植えたあと、
高校生がずっと育ててきた畑です。
ジャガイモ畑

 

みんな揃ったら、一斉にジャガイモ掘り開始!
じゃがいも掘り開始!


▲畑は幼稚園児でも少し土を掘っただけで
ジャガイモを掘り起こしやすいようにしてあります

 

じゃがいものある場所を幼稚園児に教える高校生

「ここ掘って!」
「これはくさっているからやめようね」
「これは緑色だから毒があるよ」
※光に当たって緑色になった部分には天然毒素である”ソラニン”や”チャコニン”が多く含まれていて、吐き気や下痢、おう吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出ることがあります。

じゃがいもの品種は「さやあかね」

▲掘ったジャガイモは”さやあかね”
 農薬を使わなくても病気に強い品種

いっぱい収穫できました。
じゃがいもをたくさん収穫できました!

別海高等学校 大村先生
「高校生だけで育てるよりも、幼稚園児と取り組むことで、生徒の励みになります。学校では、安全、安心な野菜を目指してできるだけ薬を使わないように育てています。昨年、一昨年と雨だったので、晴れてよかったです。」

校舎横へ移動すると、
高校生のパフォーマンスが始まりました。
高校生のパフォーマンス

 

高校生が扮した”ポテトマン”が登場。
ポテトマン登場

 

収穫の間にジャガイモをゆでていた生徒達も登場。
園児のためにじゃがいもをゆでていた別海高校1年生

 

手を洗って、1人2個ずつジャガイモを受け取りました。
ゆでたてのじゃがいもを受け取る幼稚園児

 

DSC01228640


▲塩味がほんのり効いたジャガイモの品種は”さやか”

 

高校生「いつもより元気に”いただきます”を言ってくれるかな?」

幼稚園児「いただきます!」
いただきます!

一緒に座り、ジャガイモを食べやすいように切ってあげたり、
のどが詰まらないか見守っている高校生。
幼稚園児を見守る高校生

高校生の感想は…
「小さい子と接するのは慣れなくて大変だったけれど、楽しそうで良かった。」

「小さい子とふれあったり、地域で交流できるのはいいことだと思います。
幼稚園児の妹も、ジャガイモ掘りをがんばっていました。」

 

別海くるみ幼稚園 村山先生
「年々、高校生が上手に相手をしてくれるようになってきました。
この行事で相手に対する気持ちが育っていると感じます。
園児たちは、”おいしかった”の他に、”やさしかった”、”たのしかった”と感想を言います。食べることだけでなく、高校生との交流を楽しんでいるのだと思います。

今年はこのあと、福島県のお寺に、収穫したジャガイモを送る計画でいます。
園児にもその様子がイメージできるように話していきます。」

 

別海高等学校 杉田良二校長

「農業高校は技術や知識としての”農業を教える学校”であることはもちろんですが、
”農業が持つ教育力で人づくりをする使命を担っている学校”でもあります。

体験をさせる、命に触れる、自らが植えた成長を確かめ、それを味わう。
こどもたちの成長過程において、”生きる力”を育む学びになります。

今回のような授業では、幼稚園児とのふれあいが
生徒の成長過程において必要な”コミュニケーション能力”を育んでいると思っています。

 

園児は高校生がジャガイモを育ててくれたお礼に、体操を披露。
幼稚園児がダンスでお礼

 

「また来年も遊びに来て下さい!」
高校生がアーチを作って見送りました。
高校生が幼稚園児を見送り

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

西別鮭ブランドに迫る ①甘塩造り (食育レポートvol.18)

別海町を流れる西別川を故郷として帰ってくる”献上 西別鮭”。
世界有数の透明度を誇る摩周湖の伏流水で育ち、丁寧に塩引きされた鮭は、
徳川幕府第11代将軍徳川家斉より幕末まで、”献上鮭”としての栄誉を授かりました。
その製法は現在まで受け継がれています。

西別鮭 甘塩造り


                     (写真提供:別海漁業協同組合)

今回は保存技術の発達によりフレッシュな食感が残る製法”甘塩造り”を取材しました。

 

【ベテランたちの手で流れていく作業】

朝8時すぎ。
その日の朝に水揚げされ、競りの終わった西別鮭が
西別さけ加工施設”へ運び込まれました。
銀色に輝く西別鮭。
西別さけ

 

まずは栽割(さいかつ)。
栽割とは、”切り裂く、切り開く”という意味です。

すべて手作業です。
しかも、皆さん10年、20年というベテランばかり。
手際よく、流れるように栽割の作業が流れていきます。西別鮭

 

 

【絶妙な塩加減は職人の経験技】

西別鮭の塩振り

ザッザッと、勢い良く、しかしまんべんなく、塩が擦り込まれます。
ぜひ動画で塩振りの絶妙な技をご覧下さい。

 

 

 

こちらは、塩を擦り込んで数日経ったもの。
”手返し”という、位置を変える作業を行い
サケ全体に、まんべんなく塩を浸透させます。
IMG_6140640

 

【まもなくあなたのお手元へ】

一定期間塩に漬けられた西別鮭は、真空包装され、発送を待ちます。 西別鮭の包装

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

 

『食べることは生きることの基本』~上春別中学校の取り組み(食育レポートvol.17)

上春別中学校のブログに掲載されている『食育通信』5月号には
いくつものカラフルなお弁当が写っていました。
上春別中学校 食育通信

上春別中学校のブログにはこの『食育通信』が毎月掲載されており、
給食前の準備や、気温が高くなる季節は食中毒の予防について、
食事のマナーやお弁当の日の様子などが綴られていました。

 

この『食育通信』を発行している、服部美恵先生にお話を伺いました。

「平成17年7月に、食育基本法が施行されました。
平成20年には小学校・中学校の学習指導要領において
『学校における食育の推進』が盛り込まれました。
食育については別海町の各校で、様々な取り組みが行われています。
上春別中学校では、教育目標”自ら感じ、考え行動する生徒の育成”を軸に、
学校全体で取り組んでいます。」

 

改修工事中の上春別中学校

▲上春別中学校は、現在改修工事中

 

服部先生が赴任するまで、上春別中学校は4年間、養護教諭が不在でした。

 

「この学校に来た時、私は生徒たちの健康を指導する”養護教諭”として、
『食』に関して、何ができるか考えました。
そこで、『食育推進基本計画』で定めている食育の日(毎月19日)に合わせて、
食育通信を出してみたのです。最初は”まずは1枚出してみよう”という気持ちでした。」上春別中学校 食育通信

▲今まで配布した食育通信

  毎月19日、給食の時間に生徒一人ひとりに直接手渡しています。

 

【別海町”お弁当の日”】

別海町では昭和62年から「お弁当の日」が設定されています。
今年度は年5回あります。
 別海町 お弁当の日

▲上春別中学校での”お弁当の日”の様子 (写真提供:上春別中学校)

 
「生徒のお弁当を見ていると、お弁当ひとつひとつに、
作ってくれたご家族の愛情がこもっているのを感じます。
作るのは大変でしょうけれど、子どもが喜ぶようなおかずを選んだり、
おかずが隙間なくびっちりと詰まっていたり、
”全部おいしく食べてほしい”と思いながら入れてくれたんだろうな、
と思って生徒たちのお弁当を見ています。」

 

【給食への思いに応えたい】

さて、給食センターでお話を伺った栄養教諭 千葉先生
8月末から「給食一口メモ」という新しい取り組みを始めました。

お昼の放送で流すことができるよう
1日1つの話題を1ヶ月分の原稿にして、別海町の全小中学校に送っています。給食ひとくちメモ

 

ところが、上春別中学校はいま、改修工事の影響で、校内放送を流すことができません。
それでも栄養教諭の思いに応えたいと思った服部先生が考えた末に作ったのが
この掲示板でした。
上春別中学校 給食一口メモ

▲放送原稿を掲示用にアレンジした「給食一口メモ」

 

上春別中学校 給食一口メモ

「最初は原稿を拡大したものをそのまま貼っていたのですが、
掲示板の前で足を止めてじっと読んでいる生徒がいて、
せっかく読んでくれるのなら、色をつけてみようかとか、
写真をつけてみようかと、アレンジしてみました。」

 

「別海町の給食は、ホタテや牛肉、鮭と、地元の食材を食べることができ、
恵まれていると思います。
昨年度(平成25年度)までは、週2回『全校給食の日』を設定しました。
今年度は工事で実施できないのですが
校長、教頭も一緒に、みんな顔を合わせながら食べました。
栄養教諭の力を借りながら、私のできる精一杯の食育を取り組んでいきたいと思っています。」

 

【食べることは生きることの基本】

服部先生の食育通信に毎回書かれているのが
『食べることは生きることの基本』という言葉。
最後に、この言葉をどんな思いで載せているのか伺いました。

「食べたものが、体を作るのは言うまでもなく、良いものを食すれば丈夫な体ができます。
決まった時間にきちんと食事をとるなど、良い食習慣で過ごすことができれば体調が整い、
健康な体づくりにつながっていくものです。

生徒はこれからの人、未来の人です。今の食事が10年後の健康につながっています。
今の中学生たちは、コンビニで自分の食べたいものを選んで買うことができます。
だからこそ、今食べることへの関心を向けないと、と思うのです。

食事を作って下さったご家族の”想い”は、食事の中に入っていると思っています。
しかし、そのことは今日明日わかるものではなく、大人になってわかってくるもの。
家庭も学校も、”教育”とは、そういうものだと思っています。」

kamishun

▲生徒のお弁当を撮影する服部先生 (写真提供:上春別中学校)

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

 

 

伝統の収穫祭!~野付小学校~(食育レポートvol.16)

2014年9月18日(木)、尾岱沼地区にある野付小学校で開催する
「収穫祭」にお邪魔しました。

野付小学校

▲全校児童86名の野付小学校。

 

野付小OBやお父さんたちが畑を耕し、児童がじゃがいもの種芋を植えて育て、今日は、8月末に収穫したじゃがいもで料理を作る”収穫祭”。

野付小学校 収穫後のじゃがいも畑


▲8月末、ここからじゃがいもが収穫されました。

 

1~6年生が4つの縦割り班で、じゃがいも料理を作ります。

メインメニューはカレーライスとハヤシライス。
サイドメニューはいもだんご・肉じゃが・じゃがバター。

 

【1年生から6年生まで、全員で下準備】

まずは班ごとにじゃがいもの皮をむき、メニューの材料を切ります。
1年生も高学年に手を添えてもらって包丁を使っていました。
野付小学校 じゃがいも調理

 家でお手伝いをしているという1年生、ピーラー使いは手慣れたもの。
野付小学校 じゃがいも調理

 

一方、校長先生たちは尾岱沼地区の「牛蔵 ふぁーむながの」さんから提供された
”野付 潮彩牛 こだわりハンバーグ”を大事に焼いていきます。
野付小学校 ふぁ~むながののハンバーグ調理

 

【料理の仕上げは高学年!】

低学年の児童は、材料を切り終わったら遊び時間。
野付小学校 休憩時間

火をかけてからは、高学年で料理を仕上げます。
こちらはいもダンゴ作り。
「ちょっと(じゃがいものゆでかた)、固かったかな~」
野付小学校 収穫祭 じゃがいも調理

 

肉じゃがづくりは 「火が熱い!」
野付小学校 収穫祭 じゃがいも調理

 カレー班はアク取りを丁寧にしていました。野付小学校 収穫祭 じゃがいも調理

 

 いもダンゴは、楕円形の他にも星形、ハート型、動物型…野付小学校 収穫祭 じゃがいも調理

 

 校長先生達が焼いていたハンバーグも、美味しそうに焼きあがりました。野付小学校 収穫祭 ハンバーグ調理

 

 

調理が終わったら、体育館へ集まって盛り付けます。
野付小学校 収穫祭の盛り付け

 

”野付 潮彩牛 こだわりハンバーグ”は、体育館の中央で配られました。野付小学校 収穫祭の盛り付け

 

【がんばった!その味は?】

およそ半年かけて育て、半日かけて出来上がったじゃがいも料理。
「いただきます」の直後、あちこちから「おいしい!」の声が聞こえました。

 

そのあと、
「いもでっかい!」「溶けちゃうから大きく切ったんだよ。」
「いもめっちゃやわらか~い」
「ハンバーグおかわりしたい!」
「玉ねぎは涙出たよね~」
味の感想、作った苦労、話題は尽きないようです。
野付小学校 収穫祭での児童たち


▲種まきから収穫、調理まで取り組んだこどもたちの顔。

 

【異学年交流で”思いやりの心”を】

野付小学校 校長 音川忠志先生にお話を伺いました。
野付小学校 音川校長

「1~6年生までの縦割り班なので、じゃがいも植えから収穫を通じて、異学年交流ができる。低学年に手を添えるなど、やさしい心で思いやりの心が育って欲しい。
また、地域の方が畑おこしをしてくださったり、高級食材を提供してくださっている。
小さい学校だからなおさら、地域のつながりに感謝の気持ちを持ってほしい。」

 

収穫祭には来られませんでしたが、黒毛和牛ハンバーグを提供した
「牛蔵 ふぁ~む ながの」の永野孝浩さんにもお話を伺いました。
永野さんも野付小学校の卒業生です。

「この地域に、小規模だけど肉牛がいるよ、と知ってもらいたいのと、
味覚は8~10歳頃までに形成されると言われているので、
それまでに、”本物の食べ物”の味を知って欲しいと思っています。」

 

お鍋はからっぽになりました。
野付小学校 収穫祭

 

最後に、手伝ってくれた人と食材に感謝して、「ごちそうさま」を言いました。

 

【父の代から続いた”伝統”を続けたい】

畑おこしをした野付小学校平成地区OBの代表、
飯山昭二さんも一緒に食事をしました。
お子さん2人が野付小学校に通っています。
野付小学校OB 飯山さん


「一から作物を育てる経験というのはなかなかない。
毎年おいしいじゃがいもがとれるのは皆さんの流した汗のおかげ。

畑おこしの手伝いは父の頃からあった伝統で、当たり前のこと。
昔はお父さん達だけだったが、今は独身のOBや入学前の子のお父さんも手伝ってくれている。

みんなで世話をして、収穫し、ごちそうを食べるありがたみを感じることは貴重な経験。お父さん達は忙しいけど、子どもたちのために手伝いを続けます。
来年もトラクターで畑をおこしに来ます。」

 

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

山の子が海へ!~秋サケの解体学習~(食育レポートvol.15)

根室管内では秋サケ漁が始まりました。

別海町立上西春別中学校の総合的な学習の時間「テーマ学習(環境学習)」では、
初の取り組みとして、「鮭(秋サケ)の解体実習」が行われました。

 
参加したのは2年生。男子8名、女子6名の計14名。
1時間以上かけて上西春別地区から尾岱沼地区の大隅商店加工場へ到着しました。
上西春別地区は別海町の中でも内陸に位置しており、
家が酪農業の生徒さんが3名います。

大隅商店 加工場

▲大隅商店加工場

 

講師は、水産加工や飲食店、地域の行事やテレビで別海の海の幸をアピールしている
大隅啓年(おおすみ ひろとし)さん。
大隅さんと別海りょウシくん

用意していただいたのは秋サケ14本!
秋サケ

 

【アキアジ(秋サケ)は全部食べられる。投げる(捨てる)ところがない】

 

まずは、大隅さんから説明を受けます。秋サケの解体実習 説明を聞く中学生

三枚おろしでははずす”えら”は、塩漬けすると「ささめ」に。
”頭”と”骨”は北海道の郷土料理「三平汁」や「あら汁」にしたり、
“氷頭(ひず)”という軟骨部分は「なます(氷頭なます)」に。
”胃(キュー)”は塩辛にすると「めふん」に。

『めふんの塩漬けと醤油漬け、最強だよ!』と大隅さん。

いよいよ三枚おろしの実習が始まります。

 

【骨を感じて!】

使うのはアイヌ語で”マキリ”という小刀。
秋サケをさばく道具 「マキリ」

 

最初に、えらを切り離します。
秋サケのエラを切り離す作業

 

頭を落とし、腹を裂き、内臓を取り出します。
骨に沿ってついている血の塊のような血合いは血腸(腎臓)といい、「めふんかき」という道具でかき出します。
秋サケの内蔵を取り出す作業

 

洗って水を切り、第一段階終了です。
秋サケの頭と内蔵、ヒレを取り除いた姿

頭を残したままで上の工程を経て、
塩を振って冷凍したものが新巻鮭なのだそうです。

三枚おろしの場合は、ここから骨と身を切り離す作業に入ります。
まずは大隅さんのお手本から。
大隅さんのお手本 大隅さんのお手本 秋サケの三枚おろし

 

今度は生徒たちの番。
秋サケの解体実習 中学生の実習

骨につく”身”が増えてくると大隅さんがサッと駆けつけ、
あっという間に身と骨をきれいに分けます。

 「骨を感じて!」と、先に作業をした生徒は次の生徒達に声を掛けていました。

 

【新鮮!だけど、寄生虫に注意!】

「生で食いてー!」
男子生徒が思わず叫ぶ活きの良さ!

『生はホントうまいんだけど、一度凍らせて”ルイベ”にしてね。
アニサキスっていう寄生虫がいることがあるから。お兄さんも刺さったから。そのまま出て行くこともあるけど、胃に刺さったら寝られないくらい痛いよ。』
生で食べることの危険を、自分の経験を踏まえつつ優しく教える大隅さん。

 

作業を教えてもらった生徒たちと、引率の先生方の感想です。

「頭を落とすところが難しかった。やってみたら楽しかった。
全部食べられることを初めて知った。身以外食べたことがない。
自分でさばいたので、食べるのが楽しみです。」 (実家が酪農業)

「小学校で一度さばいたことがある。よく説明を聞いて、前よりうまくできた。
家に持ち帰ったらあら汁や塩焼きにして食べたいです。」

「家で頭を落としたりしたことはあるが、3枚におろしたことがなくて今日習えて良かった。家で鮭はよく食べる。家に帰ったら、自分で切り身にして焼いて食べたいです。 」

「小学校でやったことがある。難しかった。 鮭は意外と重かった。焼いたりして食べてみたい。またさばいてみたいです。」(実家が酪農業)

 

【上西春別中学校 教諭 吉田先生】
総合的な学習で、今年から酪農だけでなく漁業についても実習に取り組むことになった。山の子が海に来るのは(中学校では)初めて。
単年度だけでなく、今後も受け入れていただけたらと思っています。

【上西春別中学校 教頭 藤野十志幸先生】
今年度、1年生では「北方領土学習」、2年生ではこの「鮭の解体実習」、3年生では「酪農学習」に取り組んでいます。この大きな別海町には二つの大きな第一次産業があるので、それを活かして地域に誇りを持つような学習ができたらと考えています。

 

三枚おろしと頭1個、骨1枚、白子2本をそれぞれお土産にもらった生徒たち。
秋サケ解体実習のお土産

 

秋サケ解体実習の片付け

使った道具を水洗いしてお片付け。

秋サケ三枚卸し実習に挑戦する上西春別中学校2年生

このように教えるのは初めて、とおっしゃっていた大隅さん。
後日、「来年の2年生もお願いします」とお手紙が届いたそうです。


大隅商店 
〒086-1641 野付郡別海町尾岱沼158番地
℡0153-86-2121

※酔楽まる太(大隅さんのお店) 
℡0153-86-2006
基本情報はこちら

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

青空の下でのラッピング~二番草収穫~(食育レポートvol.14)

牧草ロールづくり

冬の間、牛の貴重な食糧となる牧草の収穫。

食育レポート8,9では、臼井牧場で6月末~7月上旬に行われた
一番草(いちばんそう・いちばんぐさ)の収穫をレポートしました。

いかに牛がいっぱい食べたい草を作るか~一番草の収穫 その1~(食育レポートvol.8)

牧草ロール誕生!~一番草の収穫 その2~(食育レポートvol.9)

6~7月は、天気が特に不安定な季節。
快晴の中で刈り取ることができたものの、好天が続かず
今にも雨が降り出しそうな曇り空の中での牧草ロールづくりの日もありました。
曇天の牧草ロールづくり

9月 青空の続く秋空の下、
二番草(にばんそう)と呼ばれるロールサイレージ(ロールベールサイレージ)づくりが行われていました。

【サイレージとは?】
牛の飼料になる作物を発酵させたものをサイレージと呼びます。
空気を除いて発酵させることで乳酸菌や酢酸などが発生し、
腐敗の原因となる菌を抑えるため長期保存が可能になります。

また、発酵させることで発生した有機酸は、牛にとって重要な栄養源。
牛にとって食欲をそそる香りを放ち、牛の食欲を増進させます。

このサイレージ作りがうまくいくかどうかは、冬の牛の食糧確保という役割だけでなく、
酪農業を営む酪農家にとって今後の牛の乳量、牧場経営全体に関わるものなのです。

かつては牛舎の横にそびえ立つサイロに牧草を詰め込んでサイレージを作っていましたが、
現在ではラップでくるむ”ラップサイロ”のほか、
コンクリートで囲んだ”バンカーサイロ”、土の中に溝を掘る”トレンチサイロ”などになっています。

 

一番草の収穫に引き続き、今回も臼井牧場さんにご協力いただきました。
刈り取るのは一番草と同じく、札幌ドーム10個分の牧草地!
一番草を刈り取ったあとは牛を放牧する「兼用地」は若干あるけれど、
刈り取り面積は一番草とほぼ同じなのだそうです。

 

【一番草(夏草)と二番草(秋草)の違い】

 一番草の牧草ロール

 ▲一番草の牧草ロール

二番草の牧草ロール

 ▲二番草の牧草ロール

前回の刈り取りから成長した部分を刈り取るため
丈が低く、また細く、繊維が少ない二番草。
ほぼ同じ面積を刈り取っても収穫量は減るそうです。

 

【巻くか?巻かないか?空を見上げながらの判断】
牧草ロール作り 刈り取りと乾燥作業


1日目に一台のトラクターで牧草を刈り取り、もう一台のトラクターで牧草を広げて乾燥させます。
2日目はさらに牧草をかき混ぜ、広げて乾燥を早めます。

ところが夕方、近づきつつある黒い雲を見つけた臼井さん。
雨が降ると栄養分が雨とともに流れ、醗酵品質も悪くなってしまいます。
2日目の日が暮れる頃、3日目に予定していたロール作りを開始。
その後天候回復の兆しがみえ、残りの作業は予定通り翌日に持ち越しました。

 

【家族みんなで連携プレー】

3日目、晴天のなか牧草をロールにする作業。

お母さんが今度はツインレーキという機械で牧草を集め、
お父さんがロールベーラーでロールを作ります。
そして臼井さんがラッピング。
どの作業もトラクターに作業用機械をつけて行います。(動画1分10秒)


bell-wrapper

今回は巻いている様子がよくわかるように、
白と黒のフィルムでロールを巻いて下さいました。(動画49秒)


しましまラッピング

 
【ロールに巻いているのはどんなもの?】

牧草ロール用ラップフィルム

 
使用するラップ「ストレッチフィルム」は、ポリエチレンが主原料で厚さ0.025㎜。
このラップはストレッチ性があるため、倍近くの長さに伸びます。
それを4~5重になるように巻いて密封することにより、
牧草に含まれる、空気が苦手な乳酸菌を活性化させています。

 

また、フィルムの色は黒・白・淡緑のほか、様々な色が出てきています。
色によって太陽の熱を吸収し、内部の温度が変わってくるため、
気温の変化や置き場所を考えて選んでいるのです。
(時には牧場主の好みが出る場合も…)

 

【さまざまな味わいの牧草、出来上がり!】

出来上がった牧草ロールは牛舎横へ運びます。(動画1分50秒)

 牧草ロールづくり ロールの運搬

 

 

別海りょウシくん 牧草ロールの上で

作業中や保管時に穴があいてしまうと、カビが生えたりしてしまいます。
カラスのいたずら、台風…作業後も見回りが欠かせません。

冬、臼井牧場さんでは1日に2~3個、牧草ロールが消費されます。
使用済みのラップは工業用燃料としてリサイクルされています。

 

「天気がいいからいつもより1週間早く終わりそう。それまでが勝負。」
臼井さん、夏は暑さと疲労で体重が3キロほど減るそうです。
一番草作業の苛酷さを物語っています。
「涼しくなる2番草の作業は、いつも通りご飯が食べられるので(体重が)ほとんど減らない」と
笑っていました。

別海りょウシくん 牧草ロールの上で


初夏から始まった冬支度。
牛たちは主食、おかず、デザートと、
さまざまな味わいと栄養豊富な牧草で冬を越すことができそうです。

 

※許可を得て撮影させていただきました。
私有地及び感染症予防のため、牧草地への無断での立ち入りはご遠慮くださいますようお願い致 します。

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

給食に地元の食材を~別海町 学校給食センター~(食育レポートvol.13)

別海町 学校給食センター

別海町の幼稚園・小学校・中学校の給食を作る
「別海町 学校給食センター」。別海町役場、別海消防署と並んで立っています。

乳製品や海産物の豊富な別海町のこどもたちは、どんな給食を食べているのでしょうか。
栄養教諭の千葉知美先生に伺いました。

 

【広い広い別海で、できたての給食を!】
今年度は調理員13名で毎日1,900食作っているそうです。
面積が東京23区の2.1倍ある別海町の隅々まで届けるため
調理開始は7時30分から!
しかも、調理が終わってから2時間以内に子供たちが給食をたべられるよう
時間との戦いです。
別海町 学校給食センタートラック


▲別海町は東西61.4km、南北44.3km。
 トラック7台で、できたての給食を届けます。

 

【思いが届きますように…こんだて表】
「今、こどもたちに伝えられるのはこんだて表だけなんです」
 2014年 別海町学校給食献立表


「たまねぎとはくさいのみそ汁」、「ふきいりけんちんじる」など、料理に何が入っているのか伝えたい、という気持ちが表れていました。

 

【牛乳はもちろん、別海牛乳!】

給食と言えば必ず出てくるのが”牛乳”。
別海の給食では、べつかい乳業興社の”べつかいの牛乳屋さん”です。
べつかいの牛乳屋さん×別海りょウシくん

さらに年に3回、7~9月はデザートに
”べつかいのアイスクリーム屋さん”が登場!

そのほか、主食のお米は北海道産「ななつぼし」、
パンの原料、小麦も北海道産。
野菜も旬の期間は北海道産を使用しているそうです。

 

【地元の食材を届けるために】
平成26年度 第1回「別海給食」


▲別海町の食材がメインの「別海給食」という日を設定しています。
 今年度1回目の「別海給食」は、町内畜産業者の牛肉を使用した「なつやさいのドライカレー」と、べつかい乳業興社の「べつかいのアイスクリーム屋さん」。

給食は前日調理をすることができないため、当日時間内に調理できる食材である必要があります。
6月の献立「ホタテカレー」の場合は、別海産のホタテで、むき身のものを使用したのだそうです。

「当日調理だけでは限界があります。また、1,900人分という大量の食材が一度に必要になるため、下ごしらえ、大量仕入が可能であることが必要なのです。
漁協さんからは、10月には秋鮭が旬と伺っています。連携しながら給食に取り入れていけたらと思っています。」

 

【生産する人、食べる子どもたちとのつながりを】

”給食の人気メニューは?”
「やっぱりカレーですね。
あとは麺類。スパゲッティ、ラーメン、うどん。」
学校給食 カレーの辛さ比較


▲幼稚園・小学校向けのカレールーは甘め、中学校では少し辛め。
 中学校のルーはスパイスが効いて、舌にピリリと辛さが効いていました。

 

千葉先生はおっしゃいます。
「別海の給食は、和食の煮物がとても美味しいんです。
調理員さんの調理が上手なのだと思います。
なのに、煮物は残食が多い。
作る人の”思い”が伝われば、残食が減るはず。
どのようにしたらその”思い”を子どもたちに伝えられるかを考えています。」

 

【学校と給食の連携を】

鮭

「将来は、たとえば学校で鮭の学習をした日に給食で鮭のメニューを出す。
そして、その場でこどもたちに解説をする、ということができたらと考えています。

学校の取り組みと給食をいかに結びつけるか。
そのためにも、生産現場や学校とのつながりを深めていきたいです。」

別海町 給食センター
〒086-0204 野付郡別海町別海新栄町2番地
TEL 0153-75-2854

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

地元から【別海チーズ】の文化を~なかやまミルク工房~(食育レポート Vol. 12 )

なかやまミルク工房は、チーズの製造がメインです。

なかやまミルク工房 代表取締役社長 中山勝志さん


▲「本業は牛飼い」とおっしゃる中山勝志さんは、中山農場2代目。
 自ら世界を飛び回りつつも
 「若い人に寄り添って生きていくのが自分の仕事」とおっしゃいます。

 

「子供の頃から牛と付き合うのが仕事だった。
牛乳は命をつなぐ大事な食べ物と言われている。
牧草を牛乳に変えて、役に立てないか」
と、2011年にミルク工房を開設。

 

なかやまミルク工房のチーズ製品


チーズは無添加、防腐剤不使用。
チーズは塩分が少なめで、料理に合わせやすくしています。

 

「別海町は酪農日本一。
この気候、この牧草、ここでしかできない【別海のチーズ】をブランド化していきたい。」

プレーンなチーズのほか、
別海町周辺の食材を利用したチーズも開発しています。
なかやまミルク工房 酒粕ちーず


根室市の地酒『北の勝』の酒粕を利用した「酒粕ちーず」や、

鮭とチーズのミルフィーユ


標津町のスモークサーモンとのコラボした「鮭とチーズのミルフィーユ」など。

「”文化”は、自分たちで創り上げるもの。
酪農を100年やってきたんだから、食文化としてもっと成長していきたい。」
なかやまミルク工房 代表取締役社長 中山勝志さん


「沢山の人に買ってもらうために北海道外へ売っているけれど、
地元で、地元の食材を一般の人があたりまえのことのように使ってほしい。
地元の人から”これがなくちゃいけない”
”お客さんが来たらこれ”と言われるために作り続けます。」

中山農場(なかやまミルク工房)
℡0153-76-3777
基本情報はこちら 公式サイト

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

魚の城下町・知床羅臼の夏の幸(食育レポートvol.11)

根室管内最北の町、羅臼町。
7月中旬、道の駅「知床・らうす」に隣接する
『羅臼漁業協同組合直営・海鮮工房』にお邪魔しました!

りょウシくん羅臼漁協直営店へ!

希少なぶどうエビ!

羅臼漁協・希少なブドウエビ


▲羅臼で一隻だけ漁をしていて、1日に10kgくらいしか水揚げがないのだそうです。

なるほど、ぶどうエビといわれるように、ぶどうのような色でした。

 

この時期の旬はボタンエビ!

羅臼漁協・今が旬のボタンエビ


知床・らうすはボタンエビ!

種類は違えど、北海しまえびと同様、エビが美味しい季節なのですね。

海鮮工房の方に伺いました。
北海しまえびは塩茹でにしますが、
ボタンエビのおすすめの食べ方は?

『刺身が1番!』

 

羅臼といえば、やっぱり昆布!


昆布の人気商品第1位は『食べ切りおつまみ昆布』。
1種類の昆布を、部位で何種類にも分けて加工しているのだそうです。
羅臼漁協・昆布アイス

▲りょウシくんはこの「知床羅臼 昆布アイス」が気に入ったようです。

 

深い深い、知床羅臼の海

海鮮工房全体での人気第1位は
羅臼漁協・開きホッケ


『開きホッケ』でした!
お店の方の話だと、人の個性と同じように、1匹1匹味が違うのだそうです。
そして、美味しいホッケを手に入れるために1番大事なのが『漁の場所』なのだそうです。
漁師さんの腕の見せどころですね。

 

羅臼の海は別海よりも深いのだそうです。
羅臼漁協・深海に住むゲンゲ

▲ゲンゲという深い海に住む魚。
  『鍋にしてもすまし汁にしてもいいダシが出るよ』

  羅臼の食文化の奥深さを感じました。

 

海鮮工房 羅臼漁業協同組合
TEL 0120-530-370
公式サイトはこちら

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

母牛からのプレゼント~ホエイ~なかやまミルク工房 (食育レポートVol.10)

雪みつ(販売:北海道ミルク)


▲なかやまミルク工房で製造、北海道ミルクが販売している「雪みつ」。

 

”雪みつ”をホエイシロップとして開発した、製造元の
「なかやまミルク工房」でお話を伺いました。

 

なかやまミルク工房 外観


▲別海町中春別にある”なかやまミルク工房”。

ホエイ(乳清)はチーズを作る時にできる液体で
この中には良質なたんぱく質や乳糖が含まれ、ホエイプロテインや医薬品に使われています。
雪みつ(北海道ミルク)


▲北海道ミルクが販売する「雪みつ」は、ホエイと砂糖、レモン果汁のみ。
  食品添加物を一切使用していません。

代表取締役社長の中山勝志さんにお話を伺いました。
なかやまミルク工房 代表取締役社長 中山勝志さん


▲ 「子どもの頃から牛と付き合うのが仕事」とおっしゃる中山さん。

「ホエイは子牛が母牛からとる大事な免疫が入っている。
練乳の要領で煮詰めて、砂糖やレモン果汁を加えて作り上げた。
コーヒーやソフトクリーム、アイスクリームにかけたり、
クッキーやパンにつけてもおいしいよ」

 

なかやまミルク工房では主にチーズを製造・販売しています。
なかやまミルク工房のチーズ製品

▲なかやまミルク工房で製造している製品の数々。

「ここのチーズを、地元で当たり前のように使ってほしい」

次回は、チーズへの思いを伺います。

 

製造元  中山農場(なかやまミルク工房)
℡0153-76-3777
基本情報はこちら 公式サイト

販売元 北海道ミルク(株)
℡011-668-1976
公式サイトはこちら(製品のご購入はこちらから)

 

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

 

 

牧草ロール誕生!~一番草の収穫 その2~(食育レポートvol.9)

牧草ロールづくり

前回は牧草ロールを刈り取って乾燥させるまでの作業をお伝えしました。
一番草の収穫 その1(食育レポートvol.8)

牧草ロール誕生の瞬間!


フタが開く瞬間にご注目!(動画39秒)
牧草ロールづくり

 

 

牧草ロールのラッピング

牧草を発酵させて栄養価を高めるため、ロールにラップを巻いていく様子です。(動画1分1秒)

牧草ロールのラッピング


このような作業の繰り返しが、あの美しい牧草ロールの風景になり、
別海町から皆さんの食卓へ乳製品をお届けしています。

牧草ロールづくり


臼井牧場さんではこの作業を札幌ドーム10個分行っているそうです。

 

作った牧草ロールはどうなるの?

牧草ロールの移動作業


このようにまとめて積んで、牛舎横のスペースへ運ばれて行きました。
積んで、運んで、降ろして、また積んで…

 

圧巻!牧草ロール

圧巻!牧草ロール


運んだ先では…まさに山のようにロールが積み上げられていました!

 

ロールづくりは年2回

別海町では、6月下旬~7月上旬に収穫する牧草を”一番草”、
9月頃、2度目に収穫する牧草を”二番草”と呼んでいます。
一番草の収穫の終わった畑では、また牧草が育ち始めていました。

一番草を食べる牛

牛舎では、放牧地でたっぷり牧草を食べてきた牛が、更に昨年の一番草を食べていました。

 

※今回は特別に許可を得て撮影させていただきました。
私有地及び感染症予防のため、牧草地への立ち入りはご遠慮くださいますようお願い致します。

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》

 

 

いかに牛がいっぱい食べたい草を作るか~一番草の収穫 その1~(食育レポートvol.8)

牧草ロールづくり


冬の間、牛の貴重な食糧となる牧草の収穫。
牧草の収穫どんなにいい草が生えても、収穫を失敗すれば台無し。
そんな作業の中、臼井牧場さんが収穫の様子を見せて下さいました。

 

天気予報、そして雨雲とにらめっこの日々

臼井さんは朝4時半に起き、4:45から搾乳開始。
今年の一番草収穫は6月22日~2週間ほど、作業は9:00~15:00。
その後夕方の搾乳、就寝は23時。
天気予報を見つつ、近くにある雨雲を気にしながら過ごします。
牧草は牛のごはん

 

札幌ドーム10個分の牧草ロールづくり

臼井牧場さんは、放牧地を除いて50ヘクタール。(1ヘクタールは一辺100mの正方形1個分)
札幌ドーム10個分。
チモシー

牧草はチモシー、白クローバーなど。
農薬は使わず、状態に応じて牛ふんの量、肥料の量を見極めます。
「土の栄養管理がすべて。あとは自然に見守るしかない」

 

トラクターでの刈り取り作業

まずは刈り取りの作業。

トラクターに乗せていただきました。(動画19秒)

大きな音を立てながら牧草地をぐるぐると渦巻きに刈り取っていきます。

一番草の収穫

 

刈り取ると、テッター(刈り取った牧草をほ場全体に広げたり、反転作業をする機械)
で散らします。
一番草の収穫 テッター


サイレージ用で、天気が良ければ1日、
乾燥ロール用だと3日ほどテッターで何度も散らして乾かすのだそうです。

 

「一番困るのは、ロール直前の雨。
お茶を想像してみて欲しい。乾燥した茶葉に水を加えると味が出るように、
凝縮した栄養が出てしまう。品質も悪くなる。」

 

いよいよロールづくりが始まります。

 ※今回は特別に許可を得て撮影させていただきました。
私有地及び感染症予防のため、牧草地への立ち入りはご遠慮くださいますようお願い致します。

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北海道にいるから、北海道で採れたものを~オシダファーム(食育レポート Vol. 7)

息子さんの就農と共に別海へ移住した押田夫妻が営む「ファームイン オシダ」。20140627-HNM_1351

▲ファームインとは、”農場の宿”のこと。
平成16年4月からファームインを開業。

都会から来る人達に

神奈川で高等学校の生物教諭だった押田さんは
食やいのちの大切さ」を子どもたちが自分で気づき、発見できるように働きかける」
「酪農教育ファームファシリテーター」(一般社団法人 中央酪農会議 認定資格)として、小学校4年生~中学生を受け入れる。

「地元の子どもたちは親や親戚が酪農家で、地元の産業をよく知っている。
また、農協・漁協の青年部たちが地元の子どもたちに伝えようと頑張っている。
だから、自分は知る機会がないけれど知りたい、と思っている
都会から来る人達に伝えたい」
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▲牧場について学び、酪農体験をすることができます。

北海道にいるから、北海道で採れたものを

ファームインの食事は家庭料理。あくまでも自然体。
魚介類は別海町の港で水揚げされたもの、
べつかい乳業興社の牛乳、そして自家栽培の野菜。
北海道にいるから、北海道で採れたものを食卓へ出す。


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▲「都会の子どもたちは親が働いていて、
子どもたちも学校が終われば、部活、塾。一人で食べることも多い。
だから、このテーブルでみんなで食べると喜ぶの」

何年もかかかって、ここまできた

神奈川では高校生に植物の育て方を教えてきた栄司さん。
しかし「北海道の気候は本州と違う。
本州では春野菜、夏野菜と季節によって育つものが違ったが、北海道は四季の野菜が一度に育つ。」
そんな北海道の気候に試行錯誤。
「何年もかかかって、ここまできた。」
この時の畑には、11種類の野菜が色鮮やかに育っていました。
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▲「今はサンチュが食べごろ。サラダにすると美味しいよ」

今年、今までは付け合せに少しだけ食べていた山わさびを天ぷらにつけてみると
「ピリッと辛くて味がある。あれは(メニューに)出せるね。」

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家の前には初めて植えたというハーブが芽を出していました。
夫妻も日々、北海道で新しい経験を続けているようです。

オシダファーム
TEL 0153-75-0523
基本情報はこちら  公式サイト


別海町グリーン・ツーリズムネットワーク 公式サイト

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

ここは、恵まれた土地~oncafe(オンカフェ)~(食育レポート Vol.6 )

別海市街にある、CDショップに併設されたカフェ「oncafe」。
別海の牛乳をメニューに使用していると聞き、伺いました。

oncafe外観


▲バスセンター隣にあります。
 右隣は1981年からオープンしている『MUSIC SHOP ぴっくあっぷ』。中でつながっています。

 

「別海にはこんなにおいしいものがあって、
音楽を聞きながら楽しんでもらえる空間で”音楽を生活に取り入れる”提案ができれば」と
2009年6月オープン。

 

oncafe店内

▲棚には季節限定のお菓子やおすすめの食器が並び、
 黒板には使用している別海産、北海道産食材の紹介が書かれています。

 

素材に合わせてメニューを考案

スコーン(プレーン・チョコチップ)

▲ 定番の プレーンと、チョコチップ入りのスコーン。

スコーンは”別海牛乳”に合わせてレシピを作ったそう。
「スコーンは”オオカミの口”と言われるように
上下にパカっと分かれるのが”上手にできましたよ”の印。
空気・ふくらみ方でいろんな形になりますが、どれも素朴で良さがあります」

 

さくらんぼのフレーバーのミルクティー

▲「スコーンに合いますから」と勧めて下さったのが
  期間限定・さくらんぼフレーバーのミルクティー。(茶葉がなくなり次第終了)

紅茶は、地元の食材を大事にする山形の紅茶屋さんでブレンドしてもらったという
ここでしか飲めないオリジナルブレンドが揃っています。
ミルクはもちろん別海牛乳。

 

昔ながらのものを伝えたい

oncafe お菓子のショーケース

▲スコーンのほか、ガトーショコラ、シフォンケーキなどが並びます。

「最初は(スコーンを見て)なに、あれ?って言われたんですよ。
日本ではあまり知られていないけれど、
その国では”日本のせんべい”のような、昔ながらのものを堅苦しくなく伝えたいんです。」

 

ここは、恵まれた土地

最初のメニューは飲み物、スコーン、シフォンケーキ、パスタ2種類ほどだったそうですが
「別海には美味しいものがあるから増やしたかった。ここは(素材に)恵まれた土地です」

 

今ではお菓子だけでも毎日11~13種類、ランチセットやクリームスープなど
様々なメニューを楽しむことができます。

ホタテのキーマカレー

▲ホタテのキーマカレー。ホタテがまるごと入っています。

 

oncafe
TEL 0153-75-0183
基本情報はこちら 公式サイト

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

 

 

 

生乳生産量日本一、べつかいの乳製品を手から手へ。(食育レポートvol.5)

北海道別海町は、生乳生産量日本一のまち。
 この生乳を加工している様子を見学することができる施設があります。
「べつかいの牛乳屋さん」シリーズでおなじみの「べつかい乳業興社」。

べつかい乳業興社 外観

ここでは、コーヒー牛乳やチーズ、バター、アイスクリームなど
様々な種類の乳製品を製造しており、その行程を見学することができます。

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▲べつかい乳業興社の各種乳製品

 

準備、製造から出荷まで

べつかい乳業興社 工場の様子

▲牛乳充填室。

朝一番の製造は牛乳から。
それが終わると、次はアイスクリームなど、その日によって違い、午後は出荷、そして明日の準備…
一人一人が1日で色々な製造、作業をこなしています。

べつかい乳業興社 工場見学

▲工場内はすべて2階の通路から窓越しに行程を見ることができ、さまざまな生乳加工を学ぶことができます。

べつかい乳業興社 牛乳のできるまで

2階の見学者通路には解説パネルがあり、”生乳生産量日本一”別海町の酪農や、牛の一生、からだのしくみなどについて学ぶことができます。

牛の種類

厳格な衛生管理

通常は2階の見学者専用通路から行う見学ですが、今回は特別に、製造ラインと同じ目線での撮影を許可いただきました。

りょウシくんも帽子をかぶってからだじゅうコロコロ…
別海町内の小中学校をはじめ、根室管内の学校給食の牛乳を製造しているこの工場。
厳しく衛生管理されています。

べつかい乳業興社 りょウシくん見学!

▲工場立入の前に衛生チェックをする別海りょウシくん

ひとつひとつ、目と手でチェック

べつかい乳業興社 アイスクリーム製造

▲アイスクリーム製造室
いくつもの機械が並ぶ工場ですが、機械と機械の間は人の手で行っています。

 べつかい乳業興社 アイスクリーム製造

▲何人もの目と手を経て作られた製品。
  このなかのうちひとつが、みなさんのお手元に届いています。

 

べつかいの牛乳屋さんでウェルカム・ミルク

別海町では来客時に、小さなカップに注いだ牛乳でをもてなす施設があります。
2006年に根室地区酪農対策協議会が始めた「ウェルカム・ミルク」というものです。この「来客時には牛乳をまず一杯」という取り組みは、現在は別海町をはじめ、根室管内の農業協同組合やレストラン、スナックなどに広まっています。
提供しているお店のひとつ、「そば処 よし住」のおかみさんは「うちは地方から来店される方が多いです。ウェルカムミルクを出すと『濃いですね』『甘みがありますね』とおっしゃいます。なかには『もう少し沢山飲みたいですね』とおっしゃる方もいらっしゃいます。そんなときには別海牛乳の売っている場所を紹介するんですよ」とおっしゃっていました。
よし住さんでは、お茶の他にウェルカムドリンクとしてミニカップ1杯の牛乳を提供しているよ♪牛乳生産量日本一の町ならではのとっても嬉しいサービスだウシ~!《よし住店内にて》

 ▲「そば処 よし住」で提供されているウェルカムミルク

 

さいごに・・・

◆ バターを手作りしてみませんか? 

べつかい乳業興社では、バターやチーズなど、乳製品の加工体験も受け入れています。
今回は、手作りバターのレシピをご紹介。
べつかい乳業興社 バター作り体験

▲シャカシャカ振るだけで、新鮮なバターを味わえます。

《材料》
  ・生クリーム…90g(乳脂肪分50%のもの)
  ・水…30g

フタ付きの容器に入れ、勢い良く振リ続けると、シャバシャバという液体の音が一度しなくなります。
さらに振り続けると、今度はかたまりが容器にぶつかる音がきこえ始めます。
容器の中に黄色いかたまりが見えてきたら出来上がり!

べつかい乳業興社 バター作り体験

▲塩を少し加えれば有塩バター(市販のバター)になります。
ハチミツやビートシュガー(砂糖)を加えると、また違う風味に。

※早めにお召し上がり下さい。

 

 株式会社べつかい乳業興社 TEL 0153-75-2160
 基本情報はこちら  公式サイト

平成26年度農林水産省フードチェーン食育活動推進事業

 

町民の健康増進に~福祉牛乳給付事業~(食育レポート Vol.4)

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別海町では町民の健康増進のため、昭和59年4月から
満70歳以上の高齢者、妊娠6ヶ月以上から出産後1年の妊産婦、未就学児など別海町内の約4,000人に、町内13ヶ所で週2回、牛乳が給付されています。

 

この日、尾岱沼では”尾岱沼コミュニティセンター”で牛乳を受け取る親子の姿が見られました。
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取りに来られたあるお母さんにお話を伺いました。

「とても助かっています。
飲み物が家にないときも牛乳はあるということはよくあるので、
牛乳を飲む機会は他の市町村よりも多いのでは。」

 

別海町役場福祉課によると、
この取組みは全国の自治体でも別海町だけとのこと。
福祉課の森井さんは
「23年続けている事業。これからも続いてほしい」とおっしゃっていました。

 

同じ町の酪農家さんたちが育てている牛達の牛乳で、
港の子どもたちもすくすくと育っています。

 

 

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

 

 

豊かな森はたくさんの魚を育む(食育レポートvol.3)

野付半島(空撮)640

野付湾を優しく抱き、海に豊かな恵みをもたらす野付半島。

野付半島ネイチャーセンター 中塚専門員に
ネイチャーセンターからトドワラまでを案内していただきました。

野付湾は野付半島により根室湾と隔てられ、
日本有数の広大なアマモの群生地になっています。

『海が豊かなのは、森や川から栄養分が流れていて、海を育んでいるからです』

1.野付湾のアマモ

アマモは水を浄化し、
海底を安定させることによって生き物のすみかや産卵場所になる
「海のゆりかご」と言われ

2.枯れたアマモ


枯れたのちは半島に堆積し、
トビムシに分解されて貝類の食糧になるのだそうです。

 

4.魚つき保安林

魚つき保安林によって甲殻類や貝類のすみかが確保され、海に豊かな恵みをもたらしている野付半島。

 

『ゆたかな森はたくさんの魚を育むのです』

特定動物生息地保護林の看板

野付半島ネイチャーセンターのガイドツアーでは
貴重な野生動植物を見られるほか、海と陸とのつながりを学ぶことができます。

 

 

 

野付半島ネイチャーセンター

所在地 /別海町野付63
電話番号/0153-82-1270
※4月~10月 9:00~17:00
※11月~3月 9:00~16:00
(12/30~1/5 休館)

《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

お母さんの心が伝わるチーズ(食育レポートvol.2)

『河﨑牧場チーズ工房』は、生乳を生産する河﨑牧場の中にあります。

放牧牛の生乳100%で作るチーズは無調整、無添加。

夏の放牧時期と冬のサイレージ主体の時期とでは、色と風味が変わるのだそうです。

まきばの小枝(さけるタイプ)

▲さけるタイプのチーズ「まきばの小枝」
 そのまま食べたり、さいてサラダのトッピングにしたり。

 

まきばのめぐみ(ゴーダタイプ)

▲ カチョカバロタイプ「まきばのしずく」
塩分控えめ。スライスやすりおろしてパスタやグラタンに加えたり、
ふかしたじゃがいもにのせてオーブンで焼くとトロ~リ。
硬い部分はすりおろして粉チーズに。

 

 

まきばのしずく ソテー


また、1cmほどの厚さで輪切りにしてソテーすると絶品。

自分たちの育てる牛の生乳で
「自分たちが楽しむために始めた」
というチーズづくりが評判を呼び、本格的な製造へ。
牧場のおかあさんの心が伝わる、やさしい味わいのチーズがここにありました。

 

【販売店】

JA道東あさひ Aコープ西春別店 (別海町)
〒088-2564 北海道野付郡別海町西春別駅前西町274‐1
TEL 0153-77-2670

明郷(あけさと)伊藤☆牧場 レストランATTOKO (根室市)
〒086-0061 北海道根室市明郷101
TEL 0153-26-2288

 

※工房でのチーズ購入・見学は事前にお問い合わせ下さい。
お問い合わせ 河﨑牧場チーズ工房 TEL 0153-75-8032

 

 《平成26年度フードチェーン食育活動推進事業》

 

 

 

北海シマエビ夏漁へ向けて資源調査!(食育レポートVol.1)

北海シマエビ(ホッカイエビ)漁は年2回。
6月下旬から始まる予定の夏漁を前に
”ホッカイエビ未成熟個体調査”(稚エビ調査)を見せていただきました。

(動画 13秒)

▲野付湾で育った元気なエビたち!

 

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▲稚エビ調査では、しまえびの第一腹肢(ふくし)を見ています。

しまえびは性転換するので
オス、産卵前のメス、産卵後のメスと区別して、しまえびの資源量を調べているそうです。

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▲こんな表を見て選別しますが、かなり難しい作業です。

 

シマエビはどこも姉さん女房!?

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オスからメスに性転換する、ということは、
夫婦はどこも奥さんが年上なんですって^^
それは、体が大きいほうが沢山の卵を抱えられるから、という
生き残るための知恵だとか。

 この日は稚エビの個体調査でしたが、
あと2日間かけては漁獲対象になる「出産を1度以上したエビ」の調査。
推定資源量を調べ、『年間漁獲許容量』が決定します。

 

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昨年(2013年)は6月21日初出漁でした。

今年の漁期が決まりましたらお知らせします!

 

《農林水産省フードチェーン食育活動推進事業》